第4話 『ダンジョンカンパニー』

 美味かった。食いすぎた。ぼくもうたべられないよ。


「あるじさま! あといちまい! あといちまいくださいなの!!」


 まじこいつの胃袋どうなってるの? 作った八割は食べられたんだけど。てか何で俺もこんなに油揚げ買ってたんだ? いくら特価セールしてても普通こんなに買うか?


 この時、既に俺の意識が狐火の欲望(油揚げ食べたい欲)に支配されていた事に気づいていなかった。ここで気づいていたらあんな事にはならなかったのに……。


 まぁそんな訳ないんですけどね? ないよな?


「もう油揚げがないっすよ……」


 俺の言葉に崩れ落ちる狐火。袋開けたの狐火なんだから知ってるだろうが。


「かなしいなの……」


 とりあえずしょぼくれた狐火を放っておいて片付けをする。そして終わってから死仕方ないので頭を撫でる。一応夕飯の為に頑張ってくれたもんな? あれ、結局油揚げの袋を開けて皿に乗っける以外に何もしなかったなこいつ。そもそもその割烹着はどこにあったんだ?


「そういやその服ってどうしたんだ? あと何でここにいるんだ?」


 いきなりすぎたせいで聞きたい事を聞きそびれてたわ。


 頭を撫でられて落ち着いてた狐火だったが、俺の言葉を聞くと俺から離れてソファーの上に立った。


「きつねびのふくはへんげんじざいなの!」


 くるくるっと回転してポーズをとる度に色々な格好に変化する狐火。


 魔法少女かな? ぼくと契約して魔法少女になろうよ! あ、もう俺と契約してるようなもんか。つまり俺が魔法少女なのか? 違うわ!!


 一人でノリツッコミをしつつ、ドヤってる狐火に拍手を贈るとそれに照れてしまったのか、最初に着ていた巫女服に変化させて俺のもとへと座った。


「服の事はわかった。じゃあ何でここにいるんだ?」


「きつねびはあるじさまとつねにいっしょなの」


 考える素振りすら見せずに言い切る狐火を見て、何となく納得してしまった。理屈じゃなく、直感でそうなんだなって納得出来てしまったのだ。


 思わず無言になってしまった。どこか繋がっている気がするのは俺自身、実感出来ているので言い返す言葉もない。狐火から言えば当たり前の事をなぜ聞いてきたんだ? としか思っていないだろう。


 これ以上聞く事もないのでスマホで自分のチャンネルを確認する事にした。学校で確認する事も考えたが、他の人に見せた場合の影響を考えると怖くて開けなかった。


 YOUQUBEを開く。そしてマイページを見てみると、見た事がない画面に辿り着いた。そこには『緒日辻おひつじ しん』とだけ書かれたチャンネルが作成されていた。勿論俺が作った訳ではない。てか俺の本名そのままかよ。プライバシーもへったくれもないじゃん。


 まぁ既に載ってしまっている以上騒いでも意味はない。とりあえずチャンネル名は変更出来るので後で変更しとこう。ちなみに今の登録数はおおよそ五万。初めての配信で考えるとかなり多い方だと思う。理由としてはまずダンジョン配信のアーカイブが残されない為、あとから配信を観る事が出来ない事。チャンネル登録して通知が来るようにしてるんだろうな。


 そして俺の配信でもコメントで言ってるリスナーがいたが、とにかく演出が凄いという事。まぁそこは演出ではないから大迫力でも当たり前なんだが、リスナーからすればあれが現実だと思ってはくれない。まぁそれも無理はないけどな。良くも悪くもCGの質も上がってるし、俺だってそっちの立場であれば本物かどうかの判断は難しいだろう。


 チャンネルの概要欄には『ダンジョンカンパニー』のチャンネルリンクが載せられていた。そこをクリックすると『ダンジョンカンパニー』のチャンネルが表示され俺を含めたの五人の配信者のリンク先と配信についての説明が載せられている。この五人が一期生として扱われているようだ。


「登録数は……今のところ二位か」


 別に順位にこだわっている訳ではないつもりだが、何となく気になってしまう。この数字から察するにボスを倒したからって一番になれる訳ではないようだ。まぁ考えてみれば当たり前の事だが、配信ってただ強ければいい訳ではないし、リスナーからすればエンタメを求めている筈なのだからこうなるのも仕方ない事だ。


「あるじさまよりうえがいるなの!? これはまけられないなの!!」


 俺より狐火の方がなんか燃えてるんだが? 火属性だからか? 出来れば俺のチャンネルを燃やす事だけはしないように願っている。


 話がずれてしまった。ここからは俺の今後にも響く事だからしっかり読んでみようと思う。


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