第6話 ゴブリンキング

 こちらに気付いた大きなゴブリンは威嚇するように咆哮をあげる。


 空気が震え、仲間のゴブリン達が怯える程の咆哮だったが、俺には通じない。正直声がでかいだけだ。


 それにしてもこいつはよく物語でも出てくるゴブリンキングだろうか? アレだよアレ、普通のゴブリンは雑魚だけど、こいつがいるとAランク冒険者でも負ける位強いってやつだ。この威圧感、間違いない。声もでかいし。ゴブリンキングまじ怖い。


 自分なりにこの状況を判断をしていると、リスナーから気になるコメントがよせられていた。


‘‘こいつはゴブリンウォーリアだ!‘‘


 さぁ、これが最後の戦闘だ。こいつは間違いなくゴブリンウォーリアだ。あんなにでかい斧持ってるし、あの傷だらけの盾はいかにもウォーリアが使ってそうだろ。誰だ、キングだなんて言ってたのは……。


 うん、声に出さなくてよかった。恐ろしい罠だ。あと少しで恥ずかしくて死ぬところだった。


 他にも罠があるかもしれない。


 若干の精神的ダメージを受けつつも気を取り直して部屋の中を見回す。


 ボス部屋なだけあって、数えきれない位のたくさんのゴブリンがいる。その中でも弓矢を背負っているゴブリンと剣を持っているゴブリンは要注意だ。


「まぁやる事は変わらないけどな」


 刀に力を込める。すると、自分の周りに蛇が絡みつくように炎が燃え上がった。


 その俺の姿にゴブリンウォーリアの驚いている。おそらく今までの戦闘の情報はあちらさんに渡ってないようだ。


 うんうん、これだけでもこちらが有利になるな。初見かそうでないかで戦況は大きく異なる。


 少なからず、ゴブリンウォーリア以外のゴブリンの戦い方はこれまでの戦闘で把握している。数は多い為、注意が必要なのは間違いないが、ただそれだけだ。


 慌ててゴブリンウォーリアが周りのゴブリン達に指示を出している。だが、俺はそんなの待ってはいられない。


「せいやっ!!」


 刀を振るうと、炎はゴブリン達に向かって飛び出していく。その炎は瞬く間に複数のゴブリンに絡みつくように燃え上がった。


「これでビビってくれればいいんだけどなっと!」


 再び力を込め、炎を纏わせる。


 ビビってているゴブリンもいるが肝心のゴブリンウォーリアはビビっていない。だが、これで数を減らす事は出来そうだ。


 比較的燃えているゴブリンの近くにいるゴブリンに狙いを定める。


 何度か戦闘した事でわかった事なのだが、自分の力だからなのか、狐火のおかげなのか、俺自身が炎に巻き込まれる事はない。炎の中に飛び込む勇気は流石にないが、とりあえず近くにいても熱さも感じず、自分自身が燃える事もない。燃えているゴブリンの近くが一番安全なのだ。


 炎から離れようとしているゴブリンの首を刈り取る。


 それにしてもほんとに凄い切れ味だ。まるで豆腐のようにゴブリンを斬り裂く事が出来る。それにこれまでの戦闘のおかげか、今の身体に。その為、違和感なく動く事が出来ている。それがたまらなく楽しくなってくるのだ。


 俺の感情が伝わっているのか狐火の刀身が朱く輝く。


 炉の中に焚べた鉄の様に朱く輝く狐火。その高熱は、ゴブリンの剣を溶かす程に高まっている。


「愉しいな」


 思わずニヤけてしまう。俺ってこんなに好戦的だったっけ? まぁいっか。


‘‘めっちゃ悪い顔してる‘‘


‘‘どっちが悪者かわからん‘‘


‘‘え、好き‘‘


‘‘確かにこれはカッコいい‘‘


‘‘進もだけど刀もカッコいい。この刀が幼女だったなんてとても思えない笑‘‘


‘‘それな!笑‘‘


 あまりの威力に、最早棍棒なんてゴブリンを燃やす為の薪みたいなもんだ。俺が炎から離れた隙を狙ってゴブリン達も必死になって矢を射ってくるが、纏っている炎を炎の壁で変え、矢を防ぐ。すると、燃え上がった炎の壁の横から剣を持ったゴブリンが襲いかかってくるが、今度は剣ごとゴブリンを真っ二つにした。


 気がついた時にはゴブリンウォーリアを除いて、弓矢を背負ったゴブリンが二匹。剣を持ったゴブリンも二匹。あと今気付いたが、杖を持ったゴブリンが一匹残るだけだ。


 あれだけいたゴブリンを殆ど倒した割に、妙に余裕のあるゴブリンウォーリア。虚勢を張っているのか、それともこれでも余裕なのか。


「まぁ殺るだけだ」


「あるじさま、ふぁいとなの!!」


 狐火の声援に頬が緩みそうになるが、まだ我慢だ。まだ戦闘中で気を抜くには早い。


 ゴブリンウォーリアは動かない。俺が来るのを待っているんだろう。


「上等だ」


 何があろうが関係ない。


 気を引き締め直し、俺はゴブリンウォーリアのもとへ、走り出すのだった。


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