section3 主人公の強化フラグを建てるには
第1話
対魔物戦線軍属学園第六訓練所にて────
「セイっ!」
「ハァ!」
二人の少女が、剣と銃を構えている男へ向かって攻撃を仕掛ける。
もちろん、男とは俺────アーク・マーキュリーのことで、二人の少女とはレイル・ヘイルバーン女史と、シアン・カルベニク女史のことであるのだが。
────学園に入学してから一ヶ月が過ぎた。
一ヶ月を過ぎれば、最初に学園から決められた仮パートナーの変更を申請できるのだが、俺と最推しのリオーネはそのままの関係を継続した。
そして、今俺に槍と大斧を持って襲いかかってくるこの二人も、仮パートナーを継続。そして、シアンが見事Cランクへ上がったと嬉しそうに報告してきたので、とりあえず天狗にならないように今鼻を叩き折っている所である。
「動きはよくなっているが、まだまだ稚拙だな。もっと連携を意識して」
「ほんっと……っ!どうなってるのよこの人外……っ!」
俺の言葉に悪態を着くレイル。まぁこちとら幼少期の頃から化け物三人に扱かれているんでな。これくらいは出来ないと。
「でも────流石に!銃で大斧は防げないでしょ!シアン!」
「ハァァァァァ!!」
俺がレイルの槍を剣で受け止めている間に、フッと影が出来る。素早く目を向けると、大振りで斧を振りかぶってジャンプしているシアンの姿が確認できた。
一人が相手している間に背後からの奇襲。普通の人だったらこれでチェックメイトだっただろうが。
「甘いな」
「えっ!?」
「なんで銃が大斧を受け止められるのよ!頭おかしいでしょ!?」
右手の銃を横にし、銃身で斧を受け止める。衝撃の余波で、俺の足回りの地面が陥没したが、俺には全くのノーダメージ。
「力を込めた大振りは、確かにトドメの要因となりやすいが、
「えっ────ふぎゅ!?」
ガガッ、と銃を斜めにして斧を滑らせる。それで空中で体勢を崩したところをミストルティンで額に一発。
「いっ────たくない!?」
「はい死亡判定────数の優位、無くなっちゃったね」
「────せめて優しくギャン!」
痛くねぇつってんだろアホ娘。
そのままレイルの額もぶち抜いて訓練終了。「痛くない……ほんとに痛くない!?」と言いながら額をわさわさしているレイルの頭を雑に撫でた。
「はい、シアンがCランクになったからと言って調子に乗らないように。戦場では、気を抜いたヤツから死ぬぞ」
「……はい」
「今日も、訓練ありがとうございましたアークさん」
「とりあえず、アドバイスとしてだけど────」
「そういえばですが、アークさん」
「ん?」
一通り、二人のアドバイスを言い終わると、シアンが俺の名前を呼んだ。
「リオーネさんはどうしたんですか?」
「ん?あぁ、リオーネは別の課題を出してるから、今から成果を見に行くところだけど………来る?」
コクコク、と頷いた二人に、手を貸して立ち上がらせる。
「んじゃ、地下に行くか」
これは第六訓練所だけではなく、全部の訓練所に当てはまるのだが、訓練所は主に地上と地下の二つで分けられている。
地上では主に先程の俺達のような、対人の組手だったり、授業で使ったりするのだが、地下はもっと実践的なことをする。
例えば、ある一室では擬似的に光の壁の外をホログラムで再現し、魔物との戦闘が行えたり、ある一室は射撃場になっていたりと、個人のやりたい特訓が出来る施設となっている。
今回、俺がリオーネに課した課題は『魔法と銃の同時使用』だ。彼女の
だから、ホログラムで魔物を作り出し、足の速さを限界まで早くした魔物に対し、銃で牽制して魔法を当てる。
ちなみにであるが、俺はリオーネ程
「さて、どんなもんか……お」
「わぁ……」
「すっご……」
部屋がどうなっている見えるように付いている窓から、リオーネの様子を見ると、どうやらn回戦目の戦いが始まっていたようである。
リオーネの相手を務めているのは、四本足のオオカミ系魔物。リオーネがタクトを振るう度に、幾つもの魔法陣が宙に浮かび上がり、様々な属性の魔法が魔物へと飛んでいく。
しかし、魔物はそんな魔法も意図も容易く、強引に足の速さで隙間を縫うように避ける。時折銃声が聞こえるが、あまり牽制になっていない。
ま、魔法と銃の発動にタイムラグがないだけ、今回の課題は成功─────んげ!?
「リオーネェェ!?」
「「リオーネさぁぁぁん!!!」」
そして、唐突にリオーネがぶっ倒れた。
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前話は読まなくてもいいと明記しているのに、殆ど同じ人数が読んでくれている……皆しゅき
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