2021/03/02

柔らかい雪の上に倒れて、

身体のくぼみをつくる。


仰向け、

うつ伏せ、

裏表を返すように転がっていく彼女。


その中のひとつの雪の形に

彼は膝を合わせて慎重に倒れる。


彼は顔を雪に押し付けて、


「ああ、交わらない未来があろうとも、過去の形骸だけは自由にできる。これは僕だけのものだ」


彼は笑い転げながら、そう思った。

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