第25話 戸惑い

"僕を見つめる ユミさんの頬にも 静かに流れる涙


嬉し過ぎて 言葉がでない......勝手に涙だけが溢れた......


ユミさんは 唇を噛みしめ 右手で胸を抑え 泣いていた


この時の僕は きっと 山田さんたちが 死んだ事の悲しみと 辛さで ユミさんは 泣いていたんだと思ってた......けど それは......もっともっと深いものだったと 後から 知ることに......。




そんな事とは 知らずに ユミさんを 抱きしめ


長い時間 言葉がみつからず ただ寄り添う事しかできなかった......




目覚めてからの ユミさんは どこか遠く それがなんなのか 分からず もどかしく 僕は苛立ちを隠せなかった。


いつもの ユミさんなら どんな時も 冷静で...凛としてて 真っ直ぐ 振り返らず 前を進む それなのに......一人で 何かに苦しんで......僕はどうすれば ユミさんの力に なれるのだろう...




それでも 確実に時は 過ぎてゆく


僕は、リョウさんや海さんに 鍛えられ 戦うすべを知り ウタ(瓜坊)と共に強くなり ウタはもう 小さかった 瓜坊じゃなくなって 今じゃ 僕を乗せて 走れるくらいに 大きくなった。




戦いは間近だと 念頭におき


これから どう戦うべきか みんなで 話し合った結果 リョウさんと海さんの 話では


まだ山田さんたちのように 除外された 人たちが 何処かにいるはずらしく 年老いた 人たちだけじゃなく 若いひとも中にはいる みたいだった。


どうしてかは 分からないけど 塀の中に居る 人たちは なんらかしら 選ばれた 人たちらしく


塀の中でも 中心部は その中でも 認められた者しか入れないらしい......。


まずは、除外された 人たちを探し 情報と仲間を見つける事になった。


僕とリョウさん ユミさんと海さん 二手に分かれ北の先端で 落ち合う事に お互いの 健闘を祈りながら......


この時のユミさんは 全く僕を見ようとしなかった......ユミさんは 何かを隠してる


そんな気がした......。




出発の朝


勇気を出して ユミさんに


「ユミさん...僕を避けてません?」


 ユミさんの 目が一瞬 悲しく見えた...気が...そう思った時 ユミさんが ゆっくりと答えた。


「......少し時間をくれ...」


「なんだよそれ?避けられる理由があるって事なのか?」


少しイラついた僕は ユミさんの両腕を 掴んでたユミさんは 顔を反らし


「......悪い...」




この会話を 最後に 僕たちは 分かれた...そして


この時の僕は ただ苛立ち もどかしく 残酷だった......。"


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る