第9話 把握

"あれから 1ヶ月位が過ぎたのか......もう日にちの 感覚がなくなっていた......ようやく ユミさんの傷が癒え 再び街の状況を 知るために 山を下りる事に......本当なら こんなにも長く 一つの場所に 滞在する事は 危険で 何も起きなかった事に ホッとしている




僕の中で 街の状況を 見る事は ある意味 怖くてたまらない 不安だけしかなかった......


でも、隣にいる ユミさんは 凛としていて 不安なんて これぽっちも 感じさせない......きっと覚悟が違うのか......慣れてるのか......




ユミさんが 言ってた 街の状況もそうだけど 自分たちの装備に 必要なものや 武器になるもの 食料 水は絶対に 確保する事と もう僕が暮らしてたあの頃の 街の状況は 忘れろって......それは 未来に繋げと 今は 諦めず 戦い続けるだけだと言われ なんだか やるせななかった......僕は ユミさんみたいに 強くなれるのか......




そんな事を 思いながら 山を下り 何時間歩いたのか やっと民家が 見え始めた。


見る限りでは 建物が 不自然な感じは なかったが 人がいる気配がなく 僕の胸が 少しずつ ざわつき始める......


一軒 二軒と 通り過ぎるが 人の気配がしない 前を歩く ユミさんは 無言のまま ただ前を進む


僕の 頭の中で 想像が 繰り広げられていた....もしかしたら 僕たち以外 この街には 誰もいなくこの先 頼みの綱の 仲間も探せず......


そんな事を 考えた瞬間 ユミさんの一言で 我に返った。


「今は、現実だけ見ろ!」


僕の頭の中が 分かるのか......驚きが隠せない


ふと、思う......普通は こんな風に 考えたりするよな......でも ユミさんは どんな状況でも前を見てる それは 尊敬できる事なのに 誰も信じてないと言うか......心をみせない......僕だけが...いや多分 関わった人が きっと 分かろうと してるんだろうな......それだけ ユミさんには 他の人とは 違う何かが......僕も その一人か


気がつくと 僕の胸のざわつきも 忘れられていた


この時僕は なんだか 笑えたのを 覚えてる。"

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