ゲームとシナリオが違う?
第15話 コスプレ姿でゴシップ城へ
避けて通れない、ゴシップ城のイベント。
真面目にやると長話が好きなお王様の相手をしなければならない超退屈イベントなのだが、これも回避用の別シナリオが用意されている。
通常夜中は門番に邪魔されて城の中に入れないのだが、実は猫の着ぐるみを装備して城に潜入する事が可能なのだ。
深夜にネコの着ぐるみ姿で城に潜入すると、謁見の間に王妃様がいて普段の王様の長話に付き合わされるグチを少し聞くだけで、次のイベントへの重要アイテムが貰えるのだ。
・・・・
現在俺達は、イドバターの街にある宿屋にいる。
フレイアはネコの着ぐるみを手に取り衣装を眺めていた。
「エドさぁ、これを着る意味があるのか?」
ネコの着ぐるみはジャイアントモンキーの狩り場で、バードキャットと呼ばれるネコの姿をした鳥を倒すとドロップするアイテム。
イドバターの道具屋でも防具として買える装備品だが、一着1000Gととても高額で普通は五人分も買えないアイテムだ。
実はこの着ぐるみも人数分ちゃんとドロップアイテムとしてゲット済みなのである。
「十分意味がある、重要だぞ、次のアイテムを手に入れる為に必要な事だ」
フレイアは露骨に嫌な顔をしていた。
フレイア以外だって嫌な顔をしている。
楽しそうなのはメイアだけ。
表示上はネコの着ぐるみとなっているが、実はネココスプレ衣装なのだ。
「お兄ちゃん、にゃん!」
メイアが猫耳・ネコ手、ネコ尻尾、ネコ胸当て、ネコパンツ装備で首元には大きな鈴まで付けてネコのように可愛らしくポーズを取っている。
ふかふか素材でできたビキニのような物で、胸元を強調し、おへそ丸出しの男性受けしそうな着ぐるみである。
「良く似合っているぞメイア、すごくかわいいぞ」
「お兄ちゃん有り難うにゃん!」
端から見れば完全にバカ兄妹。
女性用はかなり露出多めの衣装なのだが、男用は怪人ネコ男みたいなフルスーツ型の単なる着ぐるみで面白みも何もない。
「さぁさぁ俺も着替えたのだから、他のみんなも協力してくれ」
「エドさん、この服は布の面積が凄く少ないですわ」
「みんな同じだ、メイアを見ろちゃんと着こなしているだろう」
「メイアちゃんが着ると可愛いかもしれませんが、私達が着ると……」
インテグラ、セレスもそれなりに胸やお尻は大きい、メイアは成長途中な事もあり控えめだが、インテグラやセレスが同じ衣装を着るとかなり際どい物になるはずだ。
三人とも次のアイテム確保のために頑張って着替えてもらった。
「インテグラ姉・セレス姉とっても可愛いよ!」
絶賛しているのはメイアだが、二人は完全にコスプレ喫茶の猫耳の人だ。
俺が見ても可愛いし結構際どい衣装で何処に視線を持っていけば良いのか困る位の魅力的な二人だ。
「エド、本当にこれを着て城に行くのか?」
最後に登場したのはフレイア。
これはヤバイ、色んな部分がはみ出しそうになっている。凶悪サイズのおっぱいがネコ風胸当てから完全にはみ出てポロリと弾けそうだし、パンツに関してはネコパンツが凄く伸びていて、Tバック水着みたいにほとんどお尻丸出しだ。
ピチピチ衣装でほとんど裸に尻尾が出ているような状態なので、健全な猫耳喫茶とかじゃなくて、コスプレ系風俗店に居そうなお姉様化している。
「フレイア、これを使え」
さすがにこれは可愛そうなので、旅人のローブ(予備品)を被せてやった。
「フレイアだけずるいっすよ」
「いやあれを見ただろ、ほとんど裸じゃねぇか」
「まぁ確かにそうっすけど、私達だって恥ずかしいっすよ」
「夜、門番の前を通ればそれで終わりだそれまで我慢しろ」
「しょうがないっす」
こうして夜の時間まで宿屋で過ごす事にした。
「ヒヒッ、お客さんこんな深夜にお出かけですね、みなさん外でお楽しみですか」
このゲームはネコ衣装を装備した状態で宿屋に入ると、普通は朝にならないと出られない設定が、夜に出掛けられるようになっているという、城イベント用の時短宿屋設定になるのだ。
ゲーム中もこんなメッセージだったけど、リアルで聞くとすげぇ嫌だな。
四人の女性達は猫耳ネコ衣装スタイルで宿屋を出発。
そのまま第ゴシップ城へ入っていく。
門番がこっちを見ているが、特に何も言わない。
夜普通にここに来ると、通路に出てきて通行の邪魔をするはずなのだが、門番はこっちを見ているだけだ。
「チッ……今夜も呼んだのかよ……ネコ(娘)好きの宰相の趣味だったよな……」
門番達の前を通り過ぎようとしたときの門番の舌打ちと共にこんな会話が聞こえていたのだった。
聞こえた会話からすると宰相に対して相当不満があるっぽい感じだ。
ゲームには無い設定なんだなと。
お子様には絶対に見せられない姿で門番の前を通過してく俺達だが、門番は覚めた目で俺達の事を見ていたようだった。
ちなみにこのネコの着ぐるみ、鉄の鎧よりも防御力があるのでしばらく使える防具だった記憶がある。
こんな露出だらけの服で、鉄の鎧よりも防御力があるなんて、ファンタジーだなと。
インテグラとセレスにはこのまま着て貰っていた方が防御力アップなのだけど、絶対に文句を言われてあとで酷い目に会わされるのは目に見えてわかる事なので、今回のイベントだけの眼福としよう。
予定通り、謁見の間に到着すると王妃様が薄暗い謁見の間で何かをしていた。
「勇者エドではないですか、こんな夜中にどうしたのですか?」
ちなみにこの王妃様とは今回の冒険では初対面。
俺の事を知っているはずは無いのに、なぜか知っているというご都合設定だ。
俺は王様の事を話すと、王妃様は普段王様に付き合わされる無駄話について話し始めたのだ。
これも五分ほど聞き流せば、話が進んで行くが今回はセレスとインテグラが真面目に聞き役に専念したので、王妃様の機嫌も取れて無事に”王様の通行所”を手に入れる事ができたのだ。
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