第57話 抵抗㉟

「楽しみにしてるのは構わないがきちんと作戦を立てないとやられるぞ。そこで勝てても俺たちはそのあとも戦闘が続く。全力の死闘はできない」


「わかってる。それにエーデルワイス公爵領での戦闘になるのならこちらは攻勢側になる。となると前回の戦い以上に厳しい戦いになるのは想像できるさ」


「わかっているのなら結構だ。それで現在の陸上戦力はどれぐらいなのかもう1度確認しよう」


「前回戦闘で温存することができた第4歩兵師団は万全の状態です。第3歩兵師団、第8機械化歩兵師団も若干の被害を覗けば万全な状態です」


「イズミルにはどのぐらいの戦力を置いておきたい?」


「前回戦った第6歩兵師団がすぐに戦える状態だとは思わないが、それでも警戒はしておいたほうがいいな。もしかしたら無理をしても攻めてくるかもしれん。そうだな、、、3大隊ほど第4歩兵師団からおいていったらどうだ?」


「それに加えて貴族の私兵か、、、イズミルの防衛はそれで十分だと思うが、エーデルワイス公爵領攻略はそれだけで行けるか?出し惜しみをして敗退しても意味はないぞ?」


「俺に任せろ!2師団でも十分なぐらいだ。それに戦車部隊がいるんだからな。まず間違いなく突破できる」


「わかった。それならそれで行こう。すでにエーデルワイス公爵領への道中にある領主たちの中で反乱に加担していない者には降伏勧告を送っている。おそらくだが戦闘が開始するまでにすべての領主が降伏しているだろう」


イズミルからエーデルワイス公爵領があるバクーのほうまでは大きな貴族というのがいない。小さな貴族がそれぞれの町を管轄しているような形になっているので主だった抵抗をできるような場所はないだろう。


まぁ、もしあったら全力で叩き潰すだけだが。


とにかくエーデルワイス公爵領の攻略についての概要は決まった。すでにここイズミルでできることはほとんどがない。


戦闘する場所なんかについてもどこで接敵するかわからないので何とも言えない。それにたとえ敵が敗走したとしてもファセリア辺境伯との道を安全に確保するために殲滅するまでは戦い続けることになる。


となれば重要なのは一番最初に接敵するところではなくどれだけ、敵を効率よく始末していくことができるかというところだ。それこそが今回の作戦の胆である。


第8歩兵師団の師団長はこれまた俺たちとはあまりかかわりのない司令官だ。士官学校を首席で卒業した後すぐに司令官になったとのことで、まだ実戦経験は少ない。とはいえ、油断することはできない。士官学校で首席というのは簡単に取れるものではない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る