第7話 反旗⑦

父さんは俺の言葉を聞くと天を仰ぐ。


「…それは本当なのか?」


「はい。本当です」


「はぁ、、、」


父さんは大きくため息つくと棚から胃薬を取り出す。瓶の中から適当な量を取り出すとそのまま飲み込む。


「わかった。それでこれからどうするつもりなんだ?」


「それを父さんと話し合おうと思ってここに来ました」


「そうか…おそらくここでの回答の模範解答としてはお前を私たちがとらえて皇帝の前に引きずり出すことだろう」


その瞬間室内の空気が固まる。一緒に部屋に来ているピョートルは腰につけているホルスターに手を伸ばして戦闘準備さえしている。


「ただ、、、お前は俺にとって大切な家族だ。そんなことはできない…それに現皇帝には俺も壁委していたところだからな」


「父さん…」


「私たちアカル侯爵家はお前を全面的にも支援しよう。そうなれば早急に対応を考えなければならない」


父さんはそういうとベルを鳴らして使用人を呼ぶ。


「なんでしょうか?」


「シオンを呼んできてくれ」


「了解いたしました」


シオンというのは俺の兄さんでありアカル侯爵家の次期当主だ。非常に頭がよく学院を首席で卒業した逸材。しかも、婚約者にラムジー公爵家の長女が決まっておりアカル家を飛躍させることを期待されている。


父さんが兄さんを読んでから少しするとノックをして兄さんが入ってきた。


「父さん、なん、、、、エミルじゃないか!」


兄さんが部屋に入ってきて俺のことを見ると目を大きく見開き父さんと同じように抱き着いてきた」


「エミル!どうしたんだ?忙しいと話を聞いていたが」


「シオン、まずは座れ」


「あっ、はい」


兄さんが父さんい促されて座ると俺がさっき父さんにした説明をそのまま兄さんにも話す。


話を聞いていくうちに兄さんは何かを考えるような表情になっていく。


「…ということなんですが」


「なるほど…僕も父さんと同じ考えだよ。エミルのことを見捨てることはできない。ただエミルはどのぐらいの戦力があれば勝てると思っているの?」


兄さんは真剣な表情で俺にそう話しかけてくる。


「もし、普通に既存戦力だけで戦ったら持ちこたえることはできても、勝つことはできないと考えています」


「それで?」


「ただ、もし軍をこっちに引き込むことができればそれもまた変わるんじゃないかと」


「なるほど。軍内部では不満がたまっているのかい?」


「はい。ここ最近戦争続きで軍人たちは疲弊しています。それに活躍したものへの報奨はきちんとしていますが、活躍できなかった場合の報奨は厳しいです。それに戦死した場合の遺族への補償も以前より減額されたと聞いています」

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