第4話 反旗④

「お父様というとアカル侯爵家の当主の方ですか?」


「そうだな。このままただでやられるわけにもいかない。父さんに協力を仰いでみることにする」


アカル侯爵家というと代々海運業を中心に事業を展開しており、現在もイズミル一帯を治めている、経済力、軍事力ともに秀でている貴族だ。単純な経済力、そして軍事力なら公爵家にも匹敵する。


俺には兄がいて一応兄さんが正式な後継者になるのでおそらく公爵家を継ぐことはないが、家族であることには変わりない。


もし、戦闘になったとしても対等とまではいかないが抵抗するくらいなら簡単にできるだろう。それに俺についてきている部下たちも一人一人が一騎当千の猛者たちになっている。通常の戦闘になったら十分に戦うことができる。…もし巡航ミサイルなんかを何発も打ち込んでくるなんてことがあったらどうしようもないが、さすがに皇帝もそこまでおろかじゃにだろう。もしそんなことをしたらほかにも不信感を持つ貴族や国民が発生する可能性がある。


それに巡航ミサイル一発で2億エクセル程かかる。それを国内の反乱軍討伐に使うのはさすがに無理がある。もしその攻撃で町が破壊されれば結局国がいろいろと補填したりしなければならなくなるし。


「エミル様、国と戦闘になるのならそれなりの資金が必要になる可能性がありますがどうしましょう?」


「そこらへんは溜まりにたまった俺の私財を使う。ある程度の武器の購入なんかなら問題はないはず」


「了解です。最悪軍の基地から武器を接収してしまっても大丈夫ですし」


相変わらずの危険思想。まぁ、今の俺たちは反逆者なのでそんな細かいことなんて気にしてられないってこともあるができることなら穏便に解決してしまいたい。国内での戦闘なんて他国から見れば隙でしかないし。


まぁ、さすがに国境沿いの部隊を引き上げるなんてことはしないだろうから大丈夫だろうけど。


そんなこんなでピョートルとこれからのことをいろいろ話していると以外にも時間がたっていたようだ。少しずつだが速度が遅くなっているように感じる。おそらくダーダネルス海峡を今通過しようとしているというところだろう。となればイズミルまではあともう少しといったところだ。そろそろ俺たちも降りる準備をしておいた方がいい。それにとりあえず寝てるやつを起こしに行かないといけない。


それにこの船だってイズミルに行ってからはいろいろとやることがあるだろう。本当ならこのままこの船をもらってしまいたいところだが、さすがにそれはできない。それに早いところ父さんに話をしておいたほうがいい。

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