第257話 アーサー・ラゴン
「お前、転生者だろ?」
突然、降り出した雨が周囲の色を変えていく。シンヤの纏う黒衣は濡れた影響か、その濃さを増し、いつもよりも艶やかな色になっていた。一方、ハジメの修道服は色こそ変わらないものの、水を吸って重くなっており、濡れた前髪がフードの縁にくっついてしまっていた。
「………………何故、お前がそれを知っている?」
「さてな。ちなみにこの世界でのお前の名前はアーサー・ラゴン……………なんだが、何故そっちを名乗らない?」
「それはもう捨てた名だからだ。8年前のあの日、家を飛び出してから、俺はただの"ハジメ"となった。世界を放浪し、今では多くの仲間もいる」
「その仲間達に今、何をさせているのか分かっているのか?」
「無論。何だ?正義のヒーロー気取りで説教でも垂れる気か?」
「いいや?ただ、随分と小さい奴だと思ってな」
「…………何だと?」
「ゲームだかなんだか知らないがやってることが何の役にも立たない、時間の無駄、そして極め付けが面白くも何ともない。最後のはゲームである以上、致命的だな。で、そんなつまらないことをしてお前は一体何を得る?快楽か?優越感か?それとも達成感か?」
「……………見当違いも甚だしいな。俺は別に気持ちよくなりたい訳じゃない。ただ世界中の者達に分からせてやりたいだけだ。この世は弱肉強食。それも生まれたその瞬間から、勝者となるか敗者となるか決まっていると」
「ではお前の目的は」
「俺(勝者)が世界中のゴミ共(敗者)に絶望を与えることだ。この世には絶対に越えられない壁、すなわち覆しようのない差というものがあるのを教えてやるんだ」
「……………」
「どうだ?あまりに崇高な目的に驚きすぎて声も出ないだろ?」
「ああ。ある意味、驚いたな……………あまりにもしょうもなさすぎてな」
「は?」
「やはり、お前は俺の思った通り、小さな人間だ。器もスケールも…………そして言うこと為すこと全てがな」
「……………どうやら、ここにも1人絶望を与えなければならない奴がいたようだ」
「どうした?こんな挑発に乗ってしまうようじゃ、本当に小さい人間だと思われるぞ?"滑来君"」
「っ!?その名で俺を呼ぶな!!」
「落ち着けよ。冷静にならないと話だけじゃなくて、お前自身も滑って転ぶぞ?なんせ雨が降っているんだからな」
「その単語も俺の前で言うな!!」
ハジメが今までにないほど怒りに満ちた表情で叫ぶ。直後、雷鳴が轟き、近くの森の中に光が迸った。それは落雷だった。時間差で爆音が大地に響き、それによって着弾した箇所が燃え出す。木材の焼ける独特の匂いと未だ止む気配のない雨の匂いが混じり合い、なんとも言えない香りが辺りに漂いだした。
「"黒締"……………いや、シンヤ・モリタニ。お前だけは絶対に許さない。お前にこそ、絶望を与えてやる」
「ほぅ?」
「最近、頭角を現してきたからといって、自惚れるなよ?世界は広い。知られていないだけで強者は確実に存在する。中でもこの世界の異物である転生者は特別だ。お前では絶対に俺には勝てない」
「…………いいな。殺気がビンビン伝わってくる。ちなみに異物とは?」
「元々、この世界の生まれではない者(物)のことだ。主に転生者や転移者がそれに当たる。お前も知っている通り、今の俺はこの世界で生を受けたが元々は別の世界で生まれ、既にそこでの生涯を終えている。だから、俺はこの世界において唯一無二の存在なんだ」
「転生ねぇ……………一体どうやったら、そんなことが可能なんだか」
「ふんっ、冥土の土産に教えてやる。俺がこの世界で第二の人生を送れるようになったのは…………………"神"の力によるものだ」
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ハジメ(アーサー・ラゴン)
性別:男 種族:人族 年齢:23歳
Lv 99
HP 100000/100000
MP 100000/100000
ATK 100000
DEF 100000
AGI 100000
INT 100000
LUK 100000
固有スキル
状態異常半減・入手経験値5倍・消費MP半減・金剛・火事場の馬鹿力・脳筋・限界突破・不屈の闘志・物理攻撃軽減・魔法攻撃軽減・賢人・魔学・薬学・未来視・勇者の素質
武技スキル
剣術 :Lv.9
槍術 :Lv.7
斧術 :Lv.6
薙刀術:Lv.8
杖術 :Lv.6
盾術 :Lv.5
弓術 :Lv.4
体術 :Lv.9
魔法
火魔法 :Lv.9
水魔法 :Lv.8
土魔法 :Lv.7
風魔法 :Lv.7
氷魔法 :Lv.6
雷魔法 :Lv.6
光魔法 :Lv.7
闇魔法 :Lv.7
無魔法 :Lv.9
空間魔法:Lv.4
装備
白い修道服(伝説級)
金の王剣 (伝説級)
称号
地球神の加護・転生者・虐げられし者・復讐者・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・統率者
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