第7章 vsアスターロ教

第82話 仲間

――――――――――――――――――――


カグヤ

性別:女 種族:半鬼神 年齢:24歳


Lv 60

HP 30000/30000

MP 30000/30000

ATK 30000

DEF 30000

AGI 30000

INT 30000

LUK 30000


固有スキル

鬼神化・精神統一・背水の陣・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???


武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

黒衣一式(神級)

朱の大太刀ハバキリ(覇王級)

朱の小太刀イクタチ(覇王級)


称号

闘神の加護・巡り会いし者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・姉御肌


――――――――――――――――――――


ノエ

性別:女 種族:ハイドワーフ 年齢:18歳


Lv60

HP 30000/30000

MP 30000/30000

ATK 30000

DEF 30000

AGI 30000

INT 30000

LUK 30000


固有スキル

鍛治・鈍重・一撃必殺・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???


武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

黒衣一式(神級)

銅鎚ミョルニル(覇王級)


称号

地母神の加護・囲われる者・装備の才・素材の才・鉱石の才・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・先達の教え


――――――――――――――――――――







「待てよ!」


「っ!!どうして、立てるの!?しっかりと振り抜いたはず…………」


「いや、アタシの身体に当たる直前でお前は力を緩めた…………頭では分かっていてもどうやら感情はそうでもないみたいだな」


「……………それでも、不意の攻撃は、結構効く」


「ところが事前に警戒していたとしたら、どうだ?」


「どういうこと?」


「実はな…………」


それは3日前のこと。フリーダムへと向かう直前だったシンヤはカグヤを個別で呼び出し、あることを告げた。


「カグヤ、ノエの言動には注意していてくれ。俺がいない間はお前がノエと行動を共にするからな」


「分かったよ。でも、注意ってどういうことだ?」


「詳しくは言えないんだが、ノエがいつどんな行動をしてきてもいいように常に身構えといてくれ……………例えば、お前をいきなり襲っても対応できるようにとかな」


「襲う!?何を言ってんだよ!いくら、主様といえども仲間をそんな………」


「カグヤ、頼む」


「っ!!…………わ、分かったよ」


その時のシンヤの顔があまりにも真剣味を帯びていた為、カグヤは頷かざるを得なかった。そして、当日を迎え、シンヤの言葉通りに何が起きても対応できるように常に警戒を怠らなかったのだ。仲間に対して警戒をする。これではまるでノエのことを信用していないみたいで罪悪感が湧いてくるのだが、こと今回に限っていえば、それが功を奏した形となった。ノエが立ち止まったタイミングで何か不穏な気配を察知し、咄嗟に固有スキルである"精神統一"を使ってみると直後、カグヤの身体に衝撃が走ったのである。結果、事前準備とノエの感情の揺らぎによって、ダメージは最小限で済んだが、心の方に深刻な傷を負ってしまった。


「……………」


「シンヤはこうなることを何となく分かってたみたいだが、アタシにはまだ信じられない………………なぁ、どうしてだよ?何でこんなことをした?何でそんなローブを纏ってる?何で"さようなら"なんて似合わない台詞、吐いてんだよ!!」


「………………」


「何か言えよ!!」


「ノエは……………」


そこでノエは自身の過去について、ゆっくりと拙いながらも時間をかけて語った。時々、言葉を詰まらせたり、声が震えたりしながらもそこに感情を乗せ、自身の気持ちを正直に打ち明けた。話している内にノエは自分がこれからどうしていきたいのかが段々と分かったような気がしていた。


「そうか、そんなことが……………」


「うん」


「で?今、お前はどうしたいんだ?本当の気持ちを聞かせてくれ」


「…………ノエは……………うぐっ」


ようやく見えてきた進路。しかし、それも突如、霧がかったように見えなくなってしまう。その原因はたった1つ。育ての親である組織のトップの呪縛から未だ解き放たれていないせいであった。こうしている今でも頭の中ではその男の声が聞こえてくる……………"目の前にいる者を速やかに始末せよ"と。


「うわわわああぁぁ〜〜!!や、やめて!!もうノエに、命令、しないで!!」


「おい、どうした!?落ち着け、ノエ!!」


そこから約数十秒程、頭を抱えて叫んでいたノエはある時を境にピタッと止まって静かになり、徐に立ち上がるとこう言った。


「全てはアスターロ教の為に…………今からお前を始末する」


――――――――――――――――――――





「おい!やめろ、ノエ!!」


「"壊鎧脆"」


「ちぃっ!聞く耳、持たねぇか…………仕方ねぇ!!"守り割き"」


洗脳でもされているのか、とても自らの意思で行っているとは思えない機械的な攻撃。動き自体は単調でなおかつ軌道は読みやすい。とは言うもののスピードが遅いという訳ではなく、一撃一撃がとても重い。それは武器の本来の性質であり、その代わり鈍重さによってスピードが落ちるという欠点があるはずなのだが、ノエにそこら辺の常識などは通用しない。目にも止まらぬ速さで振われる鎚を二振りの刀で以って受け流したり、止めたりしながら捌くカグヤはとても焦っていた。


「"壊体心技"」


「"流導双"」


仲間であるが故にノエの強さは良く知っていた。何度も共闘をしたし、模擬戦も数え切れない程、行った。お互いの癖や弱点も分かっている。同時にそれは一緒に過ごした時間の長さや密度の濃さを意味していた。同じクランの同期であり、仲間であり、家族。出会ってから今日まで心を通わせ合ったかけがえのない日々は遠い昔のことのように懐かしく感じる。


「悪いが本気でいくぞ……………"鬼神化"!!」


しかし、それが今はどうだ。訳の分からない組織のトップに唆されて仲間割れをさせられている。確かにノエを拾い、ここまで育てたことは赤の他人が安易にできることではないし、そこにノエ自身が恩を感じ、依存心が芽生えることも理解できなくはない。だが、どうしても腑に落ちないことがあるのだ。それは………………


「ノエ、お前は本当にその男から愛されていたのか?愛情を注いでもらっていると感じ、幸せだと思ったことがあるのか!」


「っ!!」


「おそらく、ないだろう?それはそうだろ……………どこの世界に愛する子供をスパイとして利用しようとする親がいる!お前の話を聞いているとその男は初めから、ノエを組織の為に使おうとして拾い育てたとしか思えない!お前が男に対する恩や依存心から、絶対服従することまで見越した上でな」


「そ、そんな、はず…………」


「じゃあ、何でそんなに辛そうな顔をしてアタシを襲う?何で主様達といる時はあんなに楽しそうなんだ?極め付けは………………何故アタシに謝った?」


「うっ……………」


「いい加減、目を覚ませ!ノエ、お前がいるべき場所はそんな男の元じゃない!自分自身に打ち勝て!」


「ぐっ…………だ、黙れ」


「これでもまだ囚われているのか…………じゃあ、この二刀でお前のその鎖を断ち切ってやる」


「鎖………盗賊のアジトでも…………つながれてた」


「らしいな。その話もお前から聞いてるよ。で、その時は主様が斬ったんだったな?……………今、ここに主様はいない。だから、今度はアタシが斬る!!」


「ぐそっ…………舐めるな」


「今のお前は本当のノエじゃない。大注目のクランの幹部でもなければ、部下思いの良い上司でもなく、ましてや仲間と楽しそうに過ごす、あどけない1人の少女でもない!アタシから言わせれば……………ただ組織に囚われ、何も見えなくなって利用されているだけの小娘だ!!」


「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ……………」


「………………鬼刀おにがたな"満開十分裂き"」


「ぐはっ!」


「はぁはぁ…………ぐっ………結構食らってるな」


瞬間、鮮血が舞いノエは倒れ伏した。実力が拮抗する者同士の戦い。両者、多数の傷を負うものの、幸い死に至る程ではなかった。一方が半ば洗脳状態となってはいたが少しずつ感情の揺らぎが出始め、そこに活路を見出したカグヤだからこそ、勝利することが出来たのだ。通常で殺り合った場合、こうはいかないが、それにしても今までの中で最も苦戦を強いられたことは間違いない。荒い息を吐きながら、ゆっくりと血を払い納刀したカグヤは深呼吸すると一言、こう言った。



「悪いな………………どうやら、一生消えないモノを負わせちまったようだ」

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