第62話 ケンタウロス

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ケープ

性別:女 種族:ケンタウロス族 年齢:23歳


Lv 50

HP 4600/4600

MP 4000/4000

ATK 4756

DEF 4539

AGI 4442

INT 4187

LUK 4300


固有スキル

群雄割拠・騎笛・千軍万馬・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???


武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

黒衣一式(神級)

小麦色の舶刀カートル(上級)


称号

戦神の加護・騎士道・上下関係・貫く者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・生真面目


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群雄割拠

味方が多ければ多いほど、全ステータスに補正がかかる。


騎笛

味方の士気を上げる。また、士気が下がらぬ限り、味方の全ステータスが1.2倍になる。


千軍万馬

多くの者を指揮下に入らせることができ、自身が率いて、戦いに赴く時、味方の全ステータスが1.5倍になる。


戦神の加護

戦神マールスの加護。ATKの値に補正。


騎士道

曲がったことが大嫌いな者に贈られる称号。DEFの値に補正。


上下関係

上下関係に厳しく、メリハリがしっかりしている者に贈られる称号AGIの値に補正。


貫く者

自分の決めた道を貫いている者に贈られる称号。全ステータスに補正。


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私は以前、ケンタウロス族が暮らす里で戦士見習いをしていた。自分で言うのも何だが、私は歴代で一番才能があったらしく、皆から将来はケンタウロス族を引っ張っていく存在だと期待されていた。ケンタウロス族は基本プライドが高く、自身よりも強い者でなければ、言う事など一切聞かない程であったが、そんな中、私の発した言葉は浸透性がとてもあり、狩りや合同鍛錬などがスムーズに行われることが多かった。また他種族に対して、敵対心を抱いている節がある為、商人や貿易も寄せ付けず、どんどん閉鎖的になっていき、ますます自給自足に拍車がかかっていた。私はそんな生活に嫌気が差し、本当に他種族は自分達が思っているようなものなのか、世界を回って確かめてみようと決意し、ある日、里を出た。誰にも何も告げずに……………


――――――――――――――――――――






「は?急にいなくなって、ひょっこり戻ってきたと思ったら、今度は自分の部下になれだと?しかもどこの馬の骨とも知れない奴のクランにも入れって?」


「ああ」


私は今、自分の生まれ故郷に戻ってきていた。シンヤ様に発表された上司であるローズさんと一緒に。理由は単純明快。同族である仲間達を私の組に入れようと思ったからだ。


「私達が一体、どれほど心配したか分かっているのか?ある日、急に居なくなって………残された方の気持ちを考えたことがあるのか?」


「……………」


「何故、この里を急に飛び出した?」


「…………他種族のことを知りたかったし、他の食への興味もあった。また、自分の強さがどれくらい通用するのか試したかった。あとは自分が忠誠を誓う主との出会いを求めていたのも事実だ。ひっくるめて言うと…………世界の広さを知りたかったんだ」


「………そういうことか」


「みんな、本当にすまない!この度は心配と迷惑をかけた!!しかし、私のこの行動は決して無駄ではなかった!私は遂に出会うことができたんだ!仕えるべき主に!」


「仕えるべき主だと…………?」


「ああ。里を出て、少しした頃、黒ローブを纏った怪しげな連中が複数の少女達を無理矢理どこかに連れていこうとするのを見かけた私はそれを阻止しようとした。だが、数の暴力には敵わず、逆に私が捕らえられる形となってしまった。そして、少女達が無事に逃げ切れたのを確認した私は薬で眠らされた後、気が付けば、シリスティラビンという迷宮都市のオークションに出品されていたんだ。それでこんなところで私の旅は終わるのか………と半ば諦めかけていたところ、運良くあの御方と出会ったのだ」


「あの御方?」


「今、冒険者達の間で話題沸騰のクラン"黒天の星"、そのクランマスターであらせられる"黒締"シンヤ様だ!!」


「…………?誰だ?」


「ガーン!………な、何故………一体、何故、シンヤ様を知らないんだ………ローズさん、なんでなんだ?」


「いや、そりゃそうでしょ。あんたの仲間のケンタウロス族って、この里でずっと暮らしていて、閉鎖的なんでしょ?だったら、外の情報なんて入ってくる訳ないわよ………ってか、話題沸騰のクランって………自分も所属しているのによく恥ずかしげもなく、言えたわね」


「言わないでくれ………今、思い返して顔が熱くなってきた」


「おい、2人だけで話を進めるな!ってか、よく見たら、お前は他種族、それも忌むべき種族と言われたダークエルフじゃないか」


「それがどうしたのよ?」


「ふんっ、お前みたいなのがなぜ、ケープに"さん付け"で呼ばれている?」


「それはそうでしょ。なんたって、ワタシはケープの上司なんだから」


「ケープの………上司だと?」


「そうよ。ちなみに当たり前だけど、ケープよりもワタシの方が強いから」


「冗談も休み休み言え。何を言うかと思えば、他種族のそれも………っ!!」


「あら?咄嗟に後ろに下がるとは…………少しはやるじゃない。ケープの見る目も間違ってなさそうね」


「本当か、ローズさん?」


「ええ」


「貴様………!!」


「言っておくけど、一度は許したんだから、感謝して欲しいわ。でも、二度目はないから。ワタシの前で種族のことを持ち出して、侮辱してくるのなら………容赦はしないわ」


「!!」


「ケープ、ごめんね。こいつら、少しだけお灸を据えてもいい?」


「ああ、やっちゃってくれ!こいつらも知った方がいいんだ…………世界の広さを」


「じゃあ、許可も貰ったところで始めましょうか」


「おい、みんな!こいつはやばいぞ!全力でかかれ!」


「果たして耐えられるかしら?…………"恐呪"」


――――――――――――――――――――





「ぐぅぅ………」


「た、助けて」


「苦しい………」


「お腹いっぱい…………」


「どうかしら?これで思い知った?ワタシの恐怖を」


「ローズさん………なんか思っていたのと違うんだが」


「へ?どうして?」


「だって、みんなお腹を押さえて仰向けに寝転がって呻いているだけじゃないか!これじゃあ、まるで食後にマラソンでもして苦しんでいるみたいだ!」


「だって、そういう呪いをかけたもの」


「なにその地味な呪い!?ってか、そんな呪いがあるんだ!?」


「ローズ殿と言ったか?すまん!今までの非礼を詫びよう」


「まぁ、反省したのなら、別にいいわ」


「結構効いてる!?」


「まさか、これほどの猛者がいるとは………世界はこんなにも広いのだな。種族なんかに拘っていたのが馬鹿みたいだ」


「確かに拘るのなら、種族なんかじゃなくて、お前達の倒され方だよ」


「ふっふっふ…………ちなみにワタシは10人いる幹部の中では最弱よ」


「な、なんだと!?」


「なにこの寸劇!?」


「巷で"灰剋はいこく"と呼ばれるワタシもクランの中では新参者の部類…………アンタもウチでなら、色んなことを学べるんじゃないかしら?」


「た、確かに………」


「あれ?ローズさん?なんで、あなたが主導権を握っているんだ?これ、一応、私がやらなきゃ駄目なやつ………」


「で、どうなのかしら?入りたいの?それとも入りたくないの?」


「は、入りたい!ローズさんのような猛者が勢揃いしているクランなら、私達も何か掴める気がする!」


「なんか気付かない内に解決してる!?」


「よし、それじゃあ…………あとはケープ、お願い」


「いや、思い出しようにここで私に振られても!?これ、シンヤ様から頂いた任務、ほぼ失敗だよな!?だって、決まりかけてるじゃん!」


「いや、これはアンタのおかげで決まったも同然よ……………そうしないとワタシがティアに怒られるんだから…………ボソッ」


「今、確実に本音を呟いたな!?」


「…………ケープ、確かにローズさんの凄さに若干絆されたところはある。しかし、そもそもお前のその気持ちがなければ、私達は着いていこうとは思わない。だから、お前の口から、ちゃんと言ってくれ」


「…………分かった。じゃあ、改めて言う…………クラン"黒天の星"に入り、私の組のメンバーとして、よき活躍をしてくれるか?」


「「「「「喜んで!!!!!」」」」」

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