第60話 王女
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リーゼ
性別:女 種族:人族 年齢:17歳
Lv 50
HP 4200/4200
MP 4100/4100
ATK 4459
DEF 4362
AGI 4534
INT 4681
LUK 4400
固有スキル
起死回生・審判・全身全霊・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???
武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX
魔法
全属性魔法
装備
黒衣一式(神級)
黄緑のサーベル セイバー(上級)
称号
復讐の女神の加護・没落した者・奪われた者・希望を見出す者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・ひたむき
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起死回生
HPが2割以下になった時、発動。10分間、全ステータスが3倍になる。ただし、再使用には3日かかる。
審判
自身の質問に嘘をついて答えた者に対して、耐え難い苦痛を与える。また、悪人に対しても同様
全身全霊
1日1回しか使えない。全ステータスが1.5倍になる。
復讐の女神の加護
復讐の女神エリーニュスの加護。ATKの値に補正。
没落した者
没落した者に与えられる称号。LUKの値に補正。
奪われた者
未来や希望などを奪われた者に与えられる称号。AGIの値に補正。
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ワタクシは今はなき、とある王国の第三王女として生まれました。王族であっても三番目の子供ということで周りからの期待は全くなく、国政に関しては兄や姉が参加しておりましたが、それでも幼い頃より、最低限の礼儀や作法を学び、帝王学も少しだけ心得ておりました。常日頃から、周りからの冷たい視線に晒され、実の父である国王からは仕事で溜まったストレスの捌け口として、理不尽な暴力を受けていました。そんなワタクシの心の支えは側に仕えてくれていた執事のロンと自国の民でした。城の中にいる時はロンができる限り、サポートしてくれましたし、ずっと中にいて、息が詰まる場合は外へ出て、国民と触れ合っていました。しかし、ワタクシは第三といえど、仮にも王女。そう易々と外へ出ることは禁じられていました。そんな時は決まって、変装をし、お忍びで城を抜け出しておりました。そんなある日、ワタクシが父に呼ばれ、王の間に行ってみるとそこには普段からワタクシに良くしてくれていた方達が騎士達に剣を突きつけられながら、正座させられていました。ワタクシは驚き、思わず、こう言いました。
「お父様、これは一体どういうことでしょうか?」
「この者達にある疑惑が掛かっておるのじゃ」
「疑惑…………?」
「そう。何やら、ワシの可愛い可愛い娘を誑かし、毎日城外へと連れ出しておると」
「可愛い?良く言いますわね。日頃、ワタクシがどんな目に遭っているか………」
「ふんっ。お前が何を言おうとこの者達が手引きをしているのは確かじゃ。証拠もある」
「証拠………?」
「おい、そこのお前。もう一度聞くぞ。ここにおるワシの娘、第三王女のリーゼは自分から城を抜け出していた訳ではないのだな?」
「はい、国王様。全て、私達が手引きしておりました」
「っ!!………皆さん、どうして…………」
「姫様、私達は城外で初めて貴女をお見かけした時、大体の事情を察しました。私達も貴女同様、ここにいる諸悪の根源に毎日、苦しめられておりますゆえ…………たとえ変装していようが、すぐに分かりましたし、そんな言わば同志である貴女が私達に優しさを向けてくれた…………それにどれだけ救われたことか。貴女の笑顔や行動でいつも私達は明日を生きる活力を頂いていたのです。だから、今度は私達が貴女を救う番なのです」
「そんな…………」
「いいですか、姫様?貴女は………貴女だけはこれから先、何があっても生き続けなければなりません!それもこんな腐った国なんか捨て、外に………外の世界に羽ばたいてゆくのです!貴女のその笑顔を、気遣いを、そして、人を思いやる気持ちを求めている人はきっと沢山いるでしょう!それをこんな駄王が収める国で腐らせていいはずがありません!」
「貴様!黙っておれば、いい気になりおって!そんなに死にたいか?ならば、よかろう。見せしめじゃ。貴様らは国民の前で処刑してやる」
「黙れ、駄王!毎日毎日、俺達国民に対して生きる希望を断つような酷いことをしやがって!それに俺達がただ指を咥えて、耐えているだけだと思うか?」
「ふんっ!貴様ら、駄民に何ができるというんじゃ!」
「今日という、この日の為に全国民を招集し、軍隊を作った。全ては貴様らに反旗を翻す為に!!」
「な、何じゃと!?そんなことは絶対に許さん!おい、すぐに騎士団を編成し、国民共を制圧してこい!!」
「やめて!皆さん、死んでしまうわ!」
「姫様、今日まで私達に優しくして頂いてありがとうございました。貴女は私達の生きる灯です。ですが、貴女をここに縛りつけたまま、生きていくことはできないのです」
「でも…………」
「貴女はとてもお優しい御方だ。納得してくれとは言いません。でも、理解はして欲しいのです。貴女の居なくなったこの腐った国で生きていくくらいなら、私達は死を選びます。これは国民の総意なのです。その為に今日まで耐え忍んできました」
「それでは意味が………!皆さんはここで無駄死にする為に耐えてきた訳ではないでしょう!」
「無駄死にではありません!貴女を生かす…………これがどれほど大きなことを意味するか…………むしろ、私達にとっては誉れなのです」
「何が生かすじゃ!言っとくが、リーゼ、お前も同罪じゃ!絶対に逃がさんぞ!」
「さぁ、姫様、早くお逃げ下さい!城から抜け出し、国を脱出するルートは執事のロンさんが熟知しております!」
「どうして、ロンが……………はっ、まさか」
「彼の活躍なくして、今回の作戦は成り立たなかったでしょう」
「なんてことを…………皆さんもロンもどうして、ワタクシなんかの為に」
「いずれ、分かる日が来るでしょう。そろそろ、時間です。私達が時間稼ぎをしますので早くお逃げ下さい」
「……………」
「姫様、貴女の今後の人生に幸多からんことを祈っています…………遠くから」
「っ!!皆さん、絶対に生きて、またお会いしましょう!絶対ですよ?」
国民の方々の覚悟や信念を目の当たりにしたワタクシはその場に留まっておくことが出来なかった。それをしてしまうと彼らを冒涜していることになってしまう。彼らには生きていて欲しいという願いと彼らの思いを踏み躙ってしまいたくないという思いが混ざり合い、葛藤が続くまま、ワタクシはロンに連れられ、城からの抜け穴まで案内された。
「さぁ、リーゼ様。ここから、真っ直ぐお進み下さい。いいですか?何があっても振り返らず、ひたすら前へと進み続けるのです」
「な、何を言っているんですの?ロンも一緒に行くのに。それじゃあ、まるでワタクシ一人で」
「リーゼ様と初めてお会いしたのはいつでしたか………………おぉ、そうですそうです。あれはリーゼ様がまだ1歳の時でしたか。お懐かしい。会ってすぐに私の顔を見て泣いてしまわれて…………。あの時は困りましたね。でも、抱き上げたら、すぐに笑ってくれて………。あれほど嬉しかったことはないですね」
「な、なんで、そんな話を今するんですの?」
「その後も何かあれば、私のところに来て、今日はこんな嬉しいことがあったとか、逆にこんな悲しいことがあったとか………色々とお話しして下さいました。私としては気が気でなかったですよ。貴女は自分が思っているよりもずっとお転婆で泣き虫で…………」
「だ、だから、何故そんな話を」
「そして、多くの人の希望となれる御方なんです」
「ロン……………」
「私からも同じことを申し上げさせて頂きます。いいですか?貴女はこれから先、何があっても生き続けなければなりません。こうしている今、助けを求める多くの人々が何処かにいらっしゃるかもしれません。貴女はそんな方々の希望となられる御方。ですが、何もその全員を救えと言っている訳ではありません。それが可能であるというだけの話にございます」
「……………」
「さぁ、早くお逃げ下さい。このまま、ここに居てはそれこそ、国民の方々が無駄死にとなってしまわれます」
「ロン、今までありがとう。ワタクシは国民もそして、あなたも全て等しく愛していますわ」
「恐悦至極にございます。私も気持ちは同じです」
「絶対に生きて、どこかでお会いするんですのよ?こんなところで息絶えては駄目なんですから」
「重々承知しております」
そこからのことはあまり記憶にない。ワタクシは気が付けば、城を抜け、国を脱出し、迷宮都市近くの森で黒ローブの集団に捕まり、オークションに出品されることとなっていた。国民やロンの思いを背負い、これから新たな人生を送ろうとした矢先にこれ。幸先が悪いにも程がある。しかし、その時は気が付いていなかった。落札者であるシンヤ様こそがワタクシが新たな道を切り開くキッカケをくれ、今後、本当に自分が誰かの希望となる、そんな日が訪れるということに。
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「どうしたの、リーゼ?」
「いえ………昔のことを思い出していて」
「そうなんだ…………でも、こっちのことも気にしてくれると嬉しいかなって」
「す、すみませんですわ!」
シンヤ様から発表されたワタクシの上司はアスカさんだった。お互いの事情を共有した際にアスカさんも元いた世界では家が貴族のようなところで気が合うんじゃないかとのことだったみたいだ。実際に気が合っているので間違いではないかもしれない。
「で…………どうするの、この子達?」
現在、ワタクシ達はシリスティラビンから遠く離れた街、チルドにいた。着いて早々、ギルドを訪れたワタクシは依頼ボードに貼ってあった一枚の依頼書が気になり、その依頼を受けることとなったのだ。その内容とは孤児院の方からお話しを聞いて、何か力になれることをお手伝いするというものだった。何でも孤児院にはそこまでお金がなく、経営するだけで精一杯。報酬を支払える限界のお手伝いを冒険者にお願いしているらしい。今まさに目の前でアスカさんが子供達にまとわりつかれているのも依頼だからである。困った顔をしながら、子供達の相手をしているのを見るとおそらく、あまりこういうことに慣れてはいないのだろう。焦らしていても仕方がない。ワタクシはアスカさんに向かって言い放った。
「ワタクシに1つ考えがあるんですわ!」
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