第16話 16歳の集い
16歳になる貴族の令嬢たちが、王宮に集まっていた。今日は王宮のパーティーである。この日を境に16歳の令嬢たちは大人になるのだ。
令嬢たちは、王宮のパーティーに参加するために華やかなドレスを身にまとい、期待に胸を膨らませていた。パーティーの会場は王宮の大広間で、壮麗なシャンデリアが輝き、美しい装飾が会場を飾っていた。
リリアは家紋である赤い薔薇のドレスを身にまとった美しい姿で、王宮のパーティーに登場していた。彼女のドレスは深紅の色合いで、上品なシルク生地で作られており、胸元には家紋としての赤い薔薇の刺繍が施されていた。ドレスの裾部分はふんわりと広がり、歩くたびに優美に揺れている。
彼女の髪は上品にまとめられ、金の装飾が施された、薔薇のヘアピンで飾られていた。透き通るような肌には、薄いピンクの唇が優雅に微笑みを浮かべていた。エメラルドグリーンの瞳には、自信と優雅さがにじみ出ているようだった。
「リリア様よ……」
「とても綺麗だわ……噂通りの美貌ね」
「今年選ばれるのは彼女かもしれないわ」
彼女の美しさは会場の注目を集め、赤い薔薇のドレスが伯爵家としての誇りを象徴していた。彼女は他の令嬢たちと共に会場に到着し、宮廷の中庭に広がる美しい庭園に足を踏み入れた。令嬢たちは笑顔で会話し、軽快な音楽に合わせて踊りながら、この特別な日を楽しんでいた。
「リリアお嬢様!お綺麗ですわ」
「まあ、ソフィアお嬢様!ありがとうございます。ソフィアお嬢様も綺麗なドレスですね」
リリアも他の令嬢たちと笑顔で会話を楽しんでいた。アンのおかげね。私にも女性のお友達が出来るなんて……。リリアは嬉しさで涙ぐみながら、家庭教師であるアンに感謝した。
「リリアお嬢様、いつもは私の娘と交流してくださりありがとうございます。子爵家のリューク・ダントと申します」
「私こそ、ソフィアお嬢様にはいつもお世話になっております」
彼女は学んだマナーや社交術を駆使し、他の貴族たちと円滑に交流していた。
王宮のパーティーの中で、リリアは美しい赤い薔薇のドレスを身にまとって、優雅に歩いていた。音楽が流れ、カップルたちが踊る中で、皇太子が彼女の方に歩み寄り、優雅な笑顔で尋ねた。
「お嬢様、この曲を一緒に踊りませんか?」
リリアは驚いた。皇太子はエレナと婚約の約束をしているのではなかったかしら……?
私を誘ったらどうなるか分からないわけではないでしょう?
でも、皇太子が私を選んだとエレナが知ったら、とても面白いことになりそうだわ。
「もちろんです」
リリアは驚きつつも、微笑みながら皇太子の誘いを受け入れた。彼女はその美しい赤い薔薇のドレスを揺らし、皇太子と共にダンスフロアに移動した。
「やっぱり、リリアお嬢様が選ばれたわ……!」
「リリアお嬢様なら当然ですわ。エレナ様との婚約のお話は噂だったのね」
ソフィアたちはリリアと皇太子の様子を目で追っていた。
彼らの足はリズムに合わせて優雅に動き、会場の注目を浴びながら、新たな一歩を踏み出した。
「ドゥマレーシュ公爵のパーティー以来ですね」
皇太子は踊りながらリリアに話しかけた。
「話しながら踊ると、足が絡みますよ」
彼は何が狙いなのかしら?
リリアは疑問に思いながら、皇太子の足を踏まないように気をつけた。
「ふふっ、そうですね。では後でゆっくりお話しましょう」
皇太子は微笑みながら、優雅にリリアを支えた。
皇太子とリリアは、宮廷の舞踏会の中央に立ち、壮麗なクリスタルのシャンデリアが彼らを照らし出す中、美しいワルツを舞っていた。リリアは赤い薔薇のドレスを身にまとい、その美しさが宮廷の誰もが注目する中で際立っていた。
皇太子の手にリリアの手が優しく絡み、彼女の目は彼の目と絶えず交わった。音楽とともにゆっくりと舞う二人は、まるで王国の中で最も美しい絵画の一部のようだった。彼らのダンスは優雅で調和的であり、宮廷中の者たちはその光景に息を呑むばかりだった。
それを見ている令嬢たちは、二人の美しい踊りに見蕩れていた。
「踊っていただき、ありがとうございます」
ダンスが終わった後、リリアは皇太子に感謝の言葉を述べた。彼女は内心で緊張していたものの、それを感じさせず優雅に微笑み、礼儀正しくお辞儀をした。
「こちらこそ、ありがとうございます。貴方と踊ることができて、光栄です」
皇太子もリリアの振る舞いに対して称賛の言葉をかけ、微笑みながら感心していた。その瞬間、周りの貴族たちも二人の美しいダンスと振る舞いに拍手喝采し、リリアは宮廷での地位を高めていく一歩を踏み出したのであった。
ダンスの余韻が残る中、リリアと皇太子は宮廷の美しい庭園へと足を運んだ。花々の香りが漂い、星々が夜空を飾っていた。皇太子は控えめな笑顔で言った。
「今夜は素晴らしい夜ですね」
リリアも微笑みながら応えた。
「確かに、美しい星ですわ」
彼女は恐れを知らない表情で言葉を重ねた。
「どうして私をお選びになったのですか?」
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