第15話

 魔王討伐へと出発し一ヶ月が経った。

 私たちは途中で何度も死にかけた。

 以前よりモンスターたちが強くなっているという。

「へ、魔王も警戒を強めたって事かよ」

ラオは腕に包帯を巻きながら悪態をついた。

「前回の戦いで魔王もやられかてたんだもん。無理もないわ」

「まあ、強くなったモンスターたちのおかげでオイラたちも強くはなったち」

「確かに、セカイも以前ほどではないが強さを取り戻していると我の計算にも出ている」

「うう、身体中痛いよぉ……」

 私は魔王との戦いばかり気にして道中の戦闘を計算に入れていなかった。

 月光斬剣も疲弊しているのが持ってる手から伝わってくる。

「今のままじゃ魔王は倒せねぇ……行くか?」

「まさか、ドラゴンゴーレムの所に行く気!?」

「ラオ! 正気っちか!」

「……我はラオの意見に賛成する」

 ドラゴンゴーレム……?

 激強いモンスター倒して一気にレベル上げる作戦かな?

「ドラゴンゴーレムも倒せないやつらが魔王を倒せると思うか?」

「それは……」

「確かにそうっちね……」

「倒しに行こうよ! ドラゴンゴーレム! それで一気にレベルアップだね!」

 私は半ばやけになった。

 本当は避けたい。

 けど、ラオの言う通りだからこれは行くしかないでしょ!

「セカイが言うんじゃ行くしかないわね」

「行くっち」

「行こうと計算に出ている」

「よし、ドラゴンゴーレム倒しに行くぞー!」

 ラオの雄叫びで地面が少し揺れた。

 ドラゴンゴーレム……。

 ゲームで例えたらラスボス手前のボスってところだろう。

 面白い、やってやるぜ!

 ……帰りたい。

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セカイ・ヤマダが有能過ぎて転生した私が苦労している シイカ @shiita

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