~After~突然の
嵐のような元ヤン達の謝罪を受けた日の夜、私はあとは寝るだけ……の状態でリビングのソファで物思いにふけっていた。
緋月の誕生日プレゼント……何にしようかな。
オサナ組は悩まなくてもすぐ決まるのに、緋月は特別だし……ちゃんとしたものあげたいな……。
身に着ける物……は、好みがあるだろうし……。
そういえば、なんかのマンガではたしか……「プレゼントはわ・た・し……」とか言って体中にリボンを巻いていたな……。
私も……いやいやいやいや、ムリムリムリムリ、ないないないない。
私が?
似合わないし、誰得なの、それ。
大胆過ぎる……。
あー……でも、前に一度、流れとはいえ「ついでに触ってもいいよ」なんて事言ったんだよなぁ……。
すごく大胆発言をしてしまった……。
にしても……ほんと悩む。
いっそ本人に何がいいか聞いてみようかな。
って悩んでるそばで蓮にぃから電話だ……。
「はい……」
『あ、理央ー!
聞いてくれよ!!
仕事場の子が仕事量と収入の割が合わないからって急に辞めたんだよ~!!
そのツケがこっちまで来てて、しかも、海斗も珍しくてんやわんやなんだよ!!』
「……仕事のグチか……。
募集とかは?」
『急募かけてる!!
あ~真面目で温和な人来ないかな~
あ! 海斗に呼ばれた! じゃーな!』
「……」
何……なんだったの……。
蓮にぃも自由人だからな……。
上の兄二人は、部署は違うけど、同じ会社で働いているんだよね。
って、そんな事より、緋月のプレゼント!!
明日本人に聞いてみよう。
***
翌日のホームルーム前の教室。
この日、緋月は私のちょっとだけ後に登校してきた。
「緋月、おはよう!
あの、相談があるんだけど……」
「おはよう。
俺もある……。
俺の誕生日の日……調整しようしたんだけど……」
「あ、なんかマズかった?」
「あー……そういう訳じゃないんだが……。
父さんに今回は断ろうとしたら、すごく寂しい顔されて……で、理由として理央のことを話したら、ぜひ家に……って言われて……」
「え……」
「理央さえよければ……なんだけど……」
「行っても……いいの?」
「うん……」
「……お邪魔……します」
「……うん。
あ、理央の相談って?」
「えっと~……プレゼント……何か欲しいものあるかな~……って……。
身に着けるものは好みがあるだろうし……緋月の欲しいものを……と思って」
「ん~……あんまり物欲はないけど……。
あ……」
「何? 何かある?」
「……理央との時間……。
理央と……デートしたい。
プレゼント……それがいい」
「……わかった」
それじゃプレゼントにならないよ~。
でも、本人がそれがいいって言ってるし……。
やっぱり他にも用意しよう。
「理央とのデート……楽しみだ……」
わ……その表情ズルい……。
前まで画面の向こうの私に向けていた優しい表情だ。
そんな表情してくれるなら……オシャレ……気合い入れなきゃ。
「ふっふっふ……話は聞かせてもらったよ」
「わ! ビックリした!
って、葵ちゃん?!」
「……あーさん……いたのか……」
「理央ちゃん借りるね!
理央ちゃん、ちょっとこっち来て!」
何々?!
また強引に……この子ったらほんと強引だなぁ。
で、着た先は葵ちゃんのカバンがある場所。
「はい、これ」
「なぁに、これ」
何?
紙袋?
「開けてみて!」
すっごい、にこやかな笑顔……イヤな予感……。
で、開けてみたら案の定……。
「……私、着ないって言ったよ?」
「だーめ。
これでさらに緋ーちゃんを射止めて!」
射止めるって……狩りじゃないんだから……。
葵ちゃんから受け取った紙袋の中身……それは、セクシーな下着の上下セットと、ワンピースタイプのセクシーな部屋着だった。
「えー……。
絶対似合わないと思うんだけど……」
「大丈夫!
理央ちゃんに似合う白系と水色系を選んだし、サイズも間違いないよ!!
言ったでしょ、理央ちゃんの可愛さを引き出すのが私の役目だって。
理央ちゃんは普段から可愛いけど……時には女子……見せてあげなよ」
「……葵ちゃんにそこまで言われて着ないのは……女がすたる!
似合うか自信ないけど……着るよ、私」
「うん!」
「でも……なんでこんなの持ってるの?」
「ヒミツ〜」
ですよねー……。
でも……この下着……どのタイミングで着るの?
デートの日……は違うし……別の日にお泊り誘う……とか……。
うわー……とうとう……覚悟を決める日が?
また悩み増えた……。
そうして一日中悩んで特に何事もなく学校も終わって、プレゼントが決まらずに刻々と日にちだけが過ぎていった。
時は緋月の誕生日一週間前を切った頃。
いつものように登校して緋月にあいさつしたんだ。
けど、その日の緋月は浮かない表情で……。
理由を聞いても、どこか言いにくそうにしているから深くは聞けずにいて、結局何もわからないまま一日が過ぎて、いつものように皆で帰路についたんだ。
雨……降りそうだな……。
今日の緋月……元気なかったな……。
ここ最近は、デートでどこに行こうかすごく楽しそうに話してたのに……。
急にどうしたんだろう……。
あ……雨……降ってきた……。
私が家に帰ってきてしばらくして雨が降り、弱かった雨はやがて土砂降りに変わった。
そうして私がお風呂やご飯の準備をしている時だ。
家のインターホンが鳴った。
オサナ組か、上の兄二人かと思ってモニターを見たら、予想外の人物だった。
私は急ぎ足で玄関に行き、ドアを開けた。
「緋月、どうしたの?!
びしょ濡れ! 風邪ひくから、とりあえず中入って!
お風呂沸かしてるから、シャワー終わったら入れると思う!」
「ごめん……急に……」
「それはいいよ!!
とりあえず、中に!!」
「……うん」
びっくりした……緋月が何も連絡ないまま来るなんて……。
すごく珍しい……。
いつもはオサナ組と来るか、私が誘った時に来るかだったし。
朝の元気のなさと関係……あるのかな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます