第20話 皇后

「ここが、仙界…」

初めて足を踏み入れる清浄な地に、特魔たち五人は、ほう、とため息をついた。「なんつーか…綺麗だな」「ええ…とても澄んでいます」炎迦と流迦のやりとりを聞いていると、遠くから聞いたことのない声がした。

「西王母様ー」その声に鈴が片手をあげてこちらよと応えた。それを見ていた五人はポカンと口を開けた。

…え?西王母?今西王母って言った?言ったよね!それぞれ目の前で起こっていることを頭の中で整理して同時に叫んだ「えーーーー!」

「皇后サン西王母だったのか!」「知らなかった…」「ウソでしょ…」「俺も知らなかった…」四人の視線は瑤迦に集まったが、瑤迦も目を大きく見開いていたので、お前も知らなかったんだな…と鋭い視線もすぐに同情の視線に変わった。

「ん?言ってなかったか?」と天帝は悪びれもせず涼しい顔をしていくぞと五人を促した。五人は仙界という清浄な地ゆえ、言葉にこそ出さなかったが、それぞれ、聞いてねーよ!と心の中で悪態をついたのだった。

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