第111話 手助けとは?

 仕事、大急ぎ分が終わった。

 月曜締め切りで、目処がつくまでは深夜労働、昼食抜きでやりまくった。まだその倍以上やらなきゃいけない。だけど今はコツをつかんで精神的苦痛はかなり減った。


 最初は途方に暮れた。

 素人にこれアホですか?

 難易度高過ぎです。

 負けず嫌いだから引き受けた。

 売られたケンカは全て買います。

 (仕事だけど💧)


「終わらない……倍のペースでやらないと終わらない」


 毎日ピリピリ生活をしていたら、


「手伝おうか、俺器用だし」


 ダンナが言った。

 確かにダンナは器用だが、センスが足りない。それに老眼だと無理な作業。しかし折角の好意にそんなことは絶対に言えない。丁重にお断りをした。

 その気持ちだけでありがたい。


 それから週末になった。

 土日、ダンナがいる。昼飯を作る。後片付けも増える。つまり仕事が増える。


「手伝おうか」


 この言葉をダンナが繰り返す。

 まるで呪いのようだ。

 昼が無いのが一番助かるのだが、言えない。

 っつか、手伝う気持ちがあるならそこ気付かないか?

 (-_-;)うーん


「手伝おうか」


 言葉のはしに薄ら笑いがみえる。

 あ、これ手伝いじゃなくて自分の器用さを見せつけたいんだ。


 絶対にやらせない💢

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る