ラミス再び
「母ちゃん この結界って もしかして?」俺が言うと
「そうじゃな 私の時と一緒のモノじゃな ある日いきなり封印されたそうだ」物憂げに呟く
俺は結界に手を当て あの時ラミスがやっていた母ちゃんの封印を解いた魔術を構築して解除しようとするが上手く行かない 何か見落としがあったのか?
魔術の組み立てを見直し再考する 何度か試してみるが解除出来ない
再度組み立てた魔術回路を見直して考える
そうか 解除した魔力を逃す弁が無いから延々と封印の魔力が巡ってるの
ならば 魔力を吐き出す弁の回路を構築し試してみる
シュボっと音と白煙が出て結界が解かれた ぬっと氷龍が顔を出し母ちゃんと見つめあう
「ありがとう 助かったよ」氷龍が母ちゃんに言うと
「いや 解除したのは この子じゃ」俺を見ながら言う
「なんと!! 人の子がか!?」俺を見て驚く
「たぶん お主を封印したのはラミスという男じゃ そやつは私が既に始末しておる」
「そうなのか? 昼寝をしてる時にいきなり封印されて慌てたぞ しかし人の子の封印なんぞ すぐ解けるじゃろうと思っていたが なかなかに強くてな 難儀していたところなんじゃ しかし それをあっさりと解除するとはな!!」俺を見ながら
「ここ最近は 祝詞を上げる乙女とも話せず寂しかったのじゃ そう言えば村の様子はどうじゃ 困った事になってないか?」本当にこの氷龍は村の事が大好きなんだな
「これから 村に戻っていままでの事を話すよ 身体は大事ないか?」俺が聞くと
「うむ 同じ姿勢だったからあちこち固まっているが 支障はなさそうだ」
「じゃあ 俺等は一度村に戻るよ」
俺達は村に戻り 皆に経緯を説明し 乙女の祈りを欲している事も言った
「そんな事があってたんですね 分かりました 丁度良い時期ですので 急ぎ乙女の祈りの用意をします」
その夜 乙女の祈りと供物が捧げられ 祝詞の声は麓にまで届いた
さわやかな風が吹く 晴れた空の下 俺達は氷龍に会いに行った
「久し振りのの祈りと供物はどうだった?」俺が聞くと
「ああ 乙女との会話はやはり楽しいな 供物も美味かった」満ち足りた顔で頷く氷龍
「念の為聞くけど 人に悪さはしませんよね?」ノエルさんが言うと
「儂を封印した奴みたいのは許せんが 村の者達は大好きじゃから 村に何かをする訳なかろう むしろ以前のように実り多き土地にするさ」無邪気に笑う氷龍を見て俺達も微笑む
王国への帰り道 「「竜殺し」の称号は欲しいけど あんな人間と仲良くやってるドラゴンは殺せないわね」ハイジが言うとクラリス ラテ チェルシーが頷く
「まあ 王国にも人間大好きなブラゴさんもいるしな ドラゴンだからと邪悪なのばかりじゃないんだろうな」ノエルさんが晴れた空を見上げて子供達に言う
転移魔法で帰っても良かったのだが まだ旅気分を味わいたいという事で のんびりと歩きで帰っている 氷竜のいる山の岩場に転移陣も残してきたので 何かあってもいつでも氷竜の所に行ける
途中ビアラというそこそこ大きな街に着いたのでギルドに寄り 面白そうな依頼を探す 「ねえねえ お兄ちゃん これなんかどう?」ハイジが依頼書を持って来た
「なに? マーダーアントの巣の殲滅か? 」
このメンバーなら大丈夫かと思い 受付に依頼書を持って行く
受付のお姉さんが「これを受けて頂けるのですか?」ちょっと大きい声を出してビックリした顔をする
「何か問題でも?」俺が聞くと 巣の近くの村が相当困ってるらしく領軍を出して討伐を試みたが壊滅したらしい それで金は出すから冒険者にやってもらおうということになり 何組かを派遣したが 誰も帰ってこない状態だそうだ
「こうなったら 三聖女パーティーかシリウス旅団に直接お願いするしかないんです 受けてくださるのは嬉しいのですが なにかあったらと考えると…」受付のお姉さんは暗い顔で呟く
「大丈夫よ!!お姉さん 私達がシリウス旅団だから もちろんその依頼受けるわよ!!」ハイジが元気良く宣言する
「そうね 大分困ってるらしいし」ノエルさんも皆を見て了承を得る
「それでこそ シリウス旅団よね」チェルシーが嬉しそうにラテとクラリスの肩を叩く
「では 受付のお姉さん この街にはマーダーアント用の装備は売ってますか?」
俺が聞くと「申し訳ございません 名も名乗らずに 私はジェルと申します 装備はこのギルドでも売っています」
「そうですか では人数分もらえますか?」アント系は口から強力な酸を飛ばすのでそれ用の装備が必要となる 膝下まであるマント ブーツ 手袋を人数分買って
巣の詳しい場所を聞き 出発しようとした時 ジェルさんに「危ないと思ったら 撤退して下さいね 命が大事ですから」 アントは500匹くらいらしいので 一人10匹も倒せば余裕だと思ったが「分かりました では行って来ます」(良い人だな)思いながらジェルさんに頭を下げてギルドを出る
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