第2話 夢の中

夢を見ている。

でもそこはとても暗く進むことも戻ることも出来ない

かおるは身動き出来ないでいた

(夢にしては妙にリアルだな)

かおるは思考できることに驚いた

夢で思考ができる?そんなことがあるだろうか

これは嫌な予感がする。

そう思いながら早く目が覚めること、アラームの音が鳴ることを願う

そんな願いも叶うはずなく真っ暗なその空間にはよく知っている光景が流れ始めていた


いるのは母親だ。

そして小さな自分の体。

これはダメだ。そう思っても目が逸らせない

見てはいけない、見てはいけない

そう思えば思うほどにその光景はかおるの目に焼き付いていく

小さな体が後退りを始める

まるで母親から逃げるように

私はこの先を知っている

あの痛みを知っている

誰か助けて....!!!

そう思い目を瞑った


その時だった。

かおるの意識はゆっくりと上がっていった

ピピピピピ.....

アラームの音が聞こえる

かおるは夢から開放されたのだ

「嫌な夢をまた見た...いつまでこの夢にうなされるんだろう、せっかくのテンションがダダ下がりだよ」

ぽつりと呟いたかおるの顔には疲れの色が見えていた

この夢を見るのには理由がある

薬だ

私が飲んでいる薬には悪夢を見るという副作用がある

きっとそれのせいなんだ

いつまで飲み続けるのか、分からないまま飲み続けて4~5年

やめた時期もあった。

でも寝れなくなるだけだった

結局私は許されないのだ

この夢からも、あの過去からも

いつまでもいつまでも蔓延り続けていく。


「行かなきゃ」

お気に入りの香水を吹きかけ気分を入れ替える

COACHの好きな匂い

これに包まれるとお出かけの準備が出来たという気分になる

「今日も頑張るぞぉ!!!」

ぐーーっと手の伸ばし背伸びしたかおるは玄関へと向かった

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