誘拐犯
ボウガ
第1話
行方不明者の少女が発見された。警察の手柄だった。事件性を調べていた刑事がたまたま別の事件で、調査中だった犯人が少女を隔離していた部屋からその少女を発見した。
両親は喜んでいたが、探偵は、浮かない顔をした。両親の父親の方は母にいった。
「きっと手柄をあげたかったからだろう」
しかしほどなくして、彼女は行方不明者の少女本人でない事がわかる。両親がやとっていた探偵がその証拠をみつけてきた。ある闇医者だ。彼女は凶悪な犯人の娘で整形手術をして彼女になりすまし、難を逃れようとしていたのだ。彼女も父に言われて、犯行の手伝いをしていたためだ。
それだけではなく彼女は残忍だった。少女を日常的にいじめたり殴ったり、誘拐を目撃した人間を殺すほど残忍だった。だが、件の少女を誘拐した形跡はなかった。誘拐するつもりで別の人間に誘拐されたのだ。行方不明の少女がいるということで父親が娘だけでも助けようと、誘拐された少女に仕立て上げて、元の生活にもどそうとした。だが、探偵だけがそれを見抜いた。
事実その家で飼っている犬は、数日前に惨殺された遺体でみつかっていた。このことも探偵が発見した。
両親はそのことを聞かされてパニックになった。もしあのまま一緒に暮らしていたら最悪の場合自分たちの身に危害が加えられる。だが、問題は解決したのだ。本物の少女は戻ってきた、遺骨としてだったが。
そして、探偵はこの事件のあと姿をくらました。彼を疑うものはいなかった。犯人は心神喪失で何をいっているかわからず、話も通じない。その事件は未知の部分も多く残された。
消えた探偵はほくそ笑む。まさか、探偵が少女を誘拐した本当の犯人であり、行方不明の少女を探すふりをして捜査関係者の動向をうかがっていたなどと。だが探偵は驚いた。まさか、自分が誘拐して殺害した少女が、まさか生きて戻ってくる事があるなんて、幽霊や本物であるという可能性を否定するために、彼女が偽物であるという情報を必死に集めたのだった。
彼こそが誘拐の痕跡を消していたからこそ、突如として現れた痕跡のない少女に最も驚いたのだろう。
誘拐犯 ボウガ @yumieimaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます