1日1小説(書く勢いで)

mikasa

とある江戸時代の村の話前編

時は江戸、柳凪藩は不作に悩まされていた。イナゴが大量発生し、米を食い荒らし、彼らは年貢をおさめるために泣く泣く米の代わりとして家財道具などを年貢の代わりとしておさめていた。


柳凪藩の領主であった古川土衛門は初老の柔らかい顔立ちをした良い領主で、続く不作に領民の心を想い、領民と同じく心苦しい気持ちを抱えていた。不作を解消するために自ら東大寺に赴き、仏に願おうと思っていたほどであった。年貢を下げようにもこれ以上下げることは出来ない。数年前に導入された参勤交代制度という制度によって大和(今の奈良県)にある柳凪藩は数年事に江戸へ行かねばならなくなり、莫大な支出を抱えることになってしまった。


そんな中、年貢の納めどきがやってきた。


ガラガラ、

年貢を持ってくる音が聞こえてくる。土衛門はこの不作の中で多くの年貢をとることに罪悪感を感じながら向かった。が、驚くべきことに年貢として目の前にあったのは米と酒である。もう一度言おう、酒である。当時、酒というのは農民の数少ない(1つしかないと言っても過言では無い)娯楽であり、高級品であった。古来から下級の立場であった農民たちは酔っ払うことによって不作や、重税、などのストレスから逃れていたのだ。現に、不作になろうとも酒を年貢として差し出す農民は一人もいなかった。彼らは米の代わりに家宝である壺などを差し出すことはあっても酒を差し出すことは決してなかった。酷い時は年貢として娘を差し出す村さえもあった。しかしどうだろう、目の前の奈多村の青年は大量の酒を年貢として差し出しているではないか。


困惑した土衛門は尋ねた、

「年貢の運搬ご苦労であった。だが、よいのか?酒はお主らにとって大切なものでは無いのか?酒無しでどうやってこの辛い不作を乗り切るのだ」


奈多村の青年は答えた、

「領主様、私たちにとって酒は確かに大切なものではあります。しかし、今、村の人々は別のものに夢中になっているのです。酒を呑んでいる暇などございません。」



土衛門はさらに尋ねた、

「それはなんだ?酒を超えるものなどワシでもなかなか思いつかんぞ。」


青年は少し迷ったあと、答えた。

「"続花札"でございます。」



*時代考証めっちゃくちゃです。当時の農民は丁寧語なんて話してませんでした。です、ます調の話し方は吉原から広まったとされており、また、参勤交代実装当初のような江戸初期には広がっていなかったと思います。ですが、当時の話し方で書くほどの歴史の知識はございません。

あと、酒はこんなに大事なものだったかどうかということは知りません。マジで。現に作者は酒が嫌いです。

気にし出したら終わりなので気にしないで、、、




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