ワインを片手に

アホ

第1話

「おおっと、失礼。見えなかったんだ」

私は一人の男性の革靴を踏んでしまった。私はその男性を一瞥した後、

「そもそもなぜ足を広げているんだい。踏んでしまったじゃないか」

と私は全力で言い訳をしてしまった。その男性が臭かったから。

なんかキモかった。全力で拒絶したいのになぜか立ちされない。

不思議である。その瞬間世界の色が変わった。

なぜかその男性のことを蹴り飛ばしたのだ。

「あぁ、きも」

そう言って私は後ろの男性の席に座った。

先ほどの男性は蹴り飛ばされた体勢のまま不思議な顔をして私を見ていた。

私を一瞥した後その男性はゆっくりと席を直しながら背中を震わしていた。

「ダッセ」

私はそう言った後ニヤついている男性に魅力を感じ、掌に顎を乗せて言葉を発した。

「あぁなんて素敵な男性なの。とても魅力的ね」

ともちろん前に向けて行ったつもりだったが後ろの男性が勘違いしてないか気になり後ろを向いた。

なぜか別の女性がいた。そしてその男性は私に対して心底理解し難い顔で怯えていた。

お前じゃねぇよ。と心の中で普段なら絶対に使わないであろう品のない言葉が出た。

「綺麗な女性からそう言ってもらえて光栄だ」

「あら口が上手い。素敵ね」

なんか本姓が見える話し方だけど私はその男性の言葉に魅力を感じていた。

いつもなら流したであろう話し方なのに不思議である。

なぜか私はふと後ろの男性が気になり聞き耳を立てた。

「あの女に関わんな。絶対。いきなり蹴ってくるから。まじやめた方がいい。

いや、いきなり蹴るとかおかしくない。常識的に考えて普通しないでしょ。

いやまじ理解できないわ。社会の常識欠如しているのかな」

と普通のことを言っていた。

なのに私はひどく胸を痛め泣きそうになっていた。大開にした貴方が悪い。臭いのが悪い。と心の中で思いながら私はなぜ蹴ったのか不思議に思っていた。

「貴方ほどの綺麗な人が心痛める人間ではない。あの男はよく酒のつまみ話になる人間だからだ」

とニヤつきながら慰めてくれた。

どう考えても蹴った私が悪いのに私はその男性の優しさに感動し、注文表を開いてワインを頼んだ。

それを見た男性は

「今夜のディナーは私が奢るよ」

と私の前を座る男性は金色のカードを出し、飲み残しているワインをウェイトレスを呼び下げて私と同じワインを頼んだ。

私はちょっとなんか違うなと思いながら楽しい気分になったので今夜は楽しもうと決意したところ大きな音がなった。

「お前も昔してただろ」

とその男性は背負い投げされていた。なぜその男性がその女性に触れられて少し嫌な気分になってるのか意味がわからない。

「おら、謝ってこい」

そう女性にハッパを掛けられた男性は私にゆっくりと歩み寄り全力で土下座をしてきた。悪く言ってすいませんでしたと。

私は心底からダサと思いながらなぜか声を掛けられて嬉しい気分になってるのか不思議に思った。でも異性としてはまだ見れないと心のどこかで呟いた。その感情は今までの人生で一番わからない感情だった。不思議である。

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ワインを片手に アホ @lnceptor

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