この世界を救えるのは僕だけだ

舞黒Glam

第1話 それは現実の話

目を開くとそこには何も無かった。

視界に入ってくる情報は白い以外見当たらないほどに何も。

距離は何百キロ、何千キロもあるような気がする。

周りを見渡すも景色は同じ。


しかし不思議と湧いてきた感情は高揚。口角は上へと上がり、心は躍っていた。


不思議な感情の答えを探すかのように僕の足は一歩前へと進み出した。

留まることができないマグロのように必死になって歩き続けた。

この先になにがあるのかも知らないのに。


暫く歩いていると、ごく僅か、はるか先に小さな点を発見した。

普通なら絶対に気が付かないような小ささだ。

しかし、この空間ではどんなものでも異物のように目立って見える。

徐々に勢いを失いつつあったこの足は何かを思い出したかのように突然勢いをあげ、走り始めた。


何時間走っただろうか点だったものは今目の前に家として存在している。

そこで気づいた。これが高揚していた原因なのだと。

だが、何故僕はこれがあると確信し、心躍らせ、これを探していたのだ。

謎が謎を呼ぶとはまさにこのようなことをいうのだろうか。

中へ入ろうと扉に手を伸ばし、開けようとすると意識は遠のいた。いや、意識は遠くに見えた。


あと一歩だったのに、ただただ悔しく、たまらず顔を歪ませた。

次こそは……と。


気付けば僕はベットで仰向けになっていた。

気分は悪い。軽い二日酔いのような感じがする。頭が痛い。

ゆっくりと体を起こし、周りを見て思い出した。


「あぁ、そうだった」


目の前には巨大な白い板、盤上とでもいうべきか。その真ん中にポツンと一軒、ジオラマの家が建っていた。先ほど見た家だ。


あの空間は僕が作ったものだ。

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