第二章 裏切りと信頼は紙一重 〜魔女が生まれた日〜

第51話 魔王様

※まだ魔王の名前が決まっていません。正確には決まっていますが、名前を記した紙を無くしたので、思い出そうと頑張ってるので少々お待ちください。


——約2年前——


カシルと出会ってから数日後。


「なぁカシル」

「どうしたの?」

「いやさ、普通に……」

俺は少し……というか大きい疑問に襲われていた。

「あれって魔王でいいんだよな」

「うん」

「あの、小さい女の子みたいなのが魔王なんだよな」

「うん。魔王〇〇よ」

「ここから魔王城ってどのくらいだ?」

「う〜ん……馬車を使っても1ヶ月ぐらいのところね」

「あれって魔王なんだよな」

「うん。さっきも言ったよ」

「俺と一緒にいたリンって魔王の旧友ってことでいいんだよな」

「うん。有名な話だよ。私もみた時はびっくりしたわ」

「カシルの倒すべき相手が魔王なんだよな」

「うん」

「あんな笑顔でリンと話してるのが魔王でいいんだよな」

「うん」

「従者が誰もいないのって普通なのか」

「いや普通じゃないね」

「敵意が感じられないんだが」

「そうね」

「実際には何千年も生きてる化け物なんだよな」

「うん」

「そんな化け物と旧友なんだよなリンって」

「ええ」


「「…………」」


「「え?」」

2人して首を傾げた。


閑話休題


「え?リンって魔王と友人だったのか?」

「ええそうよ。物心ついてからすぐに友人になったわね」

「おい」

「?」

「みてみろよ。このカシルのどうにでもなれみたいな顔」

「………」

「俺らの世界では最後に出てくる敵だぞ。序盤で出てきちゃダメだろ」

この世界はゲームではないとはいえ、流石に威厳もクソもないやん。

「まぁ、良いではないか」

そう言ったのは魔王だった。

「よくねぇよチビ」

「んなっ……妾は魔王じゃぞ?チビなどという蔑称で呼ぶでない‼︎」

「はいはいすいませんした」

「くっ……リンから聞いたが凄まじくうざい男じゃな貴様は……」

「えっへん!私はカシルって呼んでもらえてるもんね!」

どーしてそこでお前は胸を張って張り合おうとしてんだよ。おかしいだろ。魔王に対して何友人みたいに接してんだよ。仮にも魔王だぞ。緊張感とかないのかよ。俺が助けてくれると思ったら大間違いだぞ。このチビ勇者。

「そうだな。覚えるのに結構時間かかったがな」

「んなっ!?」

「ぷっ……」

「笑うなぁぁぁぁ!!」

なぜか勇者と魔王が追いかけっこをしている。

確かに勇者が魔王を追いかけるのは当然なのだが、この2人のことを知らない者からすればこの光景は……そう。


『子供の追いかけっこ』にしか思わないだろう。


なんか……威厳もクソもあったもんじゃないなこれ。

リンもリンで笑ってるし……。


「で?何しに会いにきたんだ〇〇さんよ」

俺は尋ねる。

「さんなどいらぬ」

「はぁ?いやいやいやいきなり呼び捨ては無理だろ」

「妾が良いと言っておるのじゃ。そう呼ぶがよい」

「えぇ………」

「え?私は?」

カシルがそう尋ねると、

「貴様も呼び捨てでよいぞ」


一向に話が進まないので割愛


「で?何しにここへ来たんだよ」

「それは決まっておる」

「?」

「この目でしかとアルミストを見に来たのじゃ」

「どゆこと?アルミストを見に来たって何何何何」

確かに見に来たという意味自体は理解できる。しかし、見に来た意図が理解できなかった。

「簡潔に言えば、懐かしいものを見に来たのじゃ」

「懐かしい?」

カシルがポカンとしているが、一旦放っておこう。もう話が進まないと色んなところから怒られそうな気がする。誰からかはわからないが。


※主に作者が怒る。


「妾はリンともう1人の旧友と一緒にアルミストの人間と戦った、もとい旅をしていたことがあるのじゃ」

「ふーん…………って、は?」

一瞬思考がバグってことの重大さに気が付かなかった。


まず、アルミストと戦った…………というのはさほど不思議なことではない。

リンは三大魔女だけがアルミストだとは言わなかったからだ。

アルミストの中で最も有名な三大魔女を例に挙げただけだと推測はなんとなくできる。

しかし、重大なのはそこではない。


リンは、アルミストを実物大で見たことがない、と言ったのだ。

一緒に旅をしたことがあるのなら、そんなことを言う必要はない。

俺が突然この世界に沸いた。

俺だって急に目の前に現れた存在を警戒しないわけがない。

そもそも、アルミスト自体が貴重な存在だとしたら尚のこと警戒して当たり前なのだ。

しかし、そんな初対面の俺対して〇〇をさらっとそんなことを言った。

つまり、それはさほど禁忌でもなく言ってもいい内容であると言える。それに一度もリンから訂正を受けたことはなかった。リンがアルミストについて詳しい理由はこれで分かったが、また新たな謎が生まれてしまった。


しかし、直感が告げている。

これはリンに問いただすべきではないと。


俺はリンにそれについて言及することをしなかった。



ー現在ー

「こうにぃが話し始めたところでどっか言っちゃったね」

今、部屋にいるのは萌音と俺だけだ。だから、当時俺が思っていたことを萌音に話しているのだが………

「どこ行ったんだろうかあいつは」

なんか用事があるとか言ってたけども………あいつに用事なんかあんのか?

そんなことを思いつつ、話を再開するのだった。

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