第32話 心配事

康輔が平和すぎると疑問に感じていた。

その疑問は正しく、例の組織は自身の計画に邪魔になるであろう、康輔を潰すための準備と、始祖を創るための準備を進めていたからであった。


ー水月邸ー

「.....康輔、最近来ないけど、大丈夫かしら」

私こと、水月鏡花は心配していた。

「鈴木様は最近、能力祭に向けて忙しいと聞きます。きっと、魔法の鍛錬でもしているのでしょう」

国枝はそう言ってくれた。

何も、私は康輔が来ないことで心配していたわけではない。

最近の康輔に起きた出来事が心配なのだ。

康輔は最近、何者かに狙われたって聞いたし....。

そのことを康輔に聞くと、康輔は能力者の始祖を作ろうとしている組織から狙われているんだとか。

もし、私がその組織だったら、能力祭なんかを狙うのではないだろうか。

観客が大量にいる中で康輔は暴れることができない。

範囲が結構大きい魔法なんてのはもってのほかだと思う。

そして、能力者と戦って体力が消耗されている中、強い魔法を使うこともできずにやられる........なんてこともあるのではないだろうか。

いや、こんなことを言っていたら本当に起きてしまうかもしれない。言霊理論ってのもあるし....。

しかし、一番心配なのはそれではない。

康輔が負けると思えないからだ。


心配なのは———。



.......百合の花を用意しなきゃいけないのかな....。



ー康輔ー

「.....なんか不吉だな....」

天気予報では、能力祭の日の天気は晴天だと言っていたのに.....。

なぜだか、その日は暗雲が立ち込める..........そんな気がしてならなかった。





とある本にはこう書かれている。


魔法は人の願いを叶えてくれる———そんな....神秘的な力だと。

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