第17話 表面上は平和

俺は朝起きて、学校に欠席の連絡を入れた。

警察が学校に連絡していたらしい。

当然っちゃ当然か。まぁ、Aランクだったらそんなことしないだろうけど。

リビングに行くと、リンがいた。

「魔力の生成が遅い....」

「しょうがないでしょ。空っぽにしたあんたが悪いわよ。魔力切れになったら魔力が生成されにくくなるって分かってて使い切ったんでしょ。自業自得だわ全く」

「おっしゃる通りです.....」

「で?今日ってバイトなのよね?」

「そうだよ。だから昼ぐらいから行かないと」

とりあえず、朝食でも食べるとするか。


冷蔵庫を開けると、「こうにぃ、早く元気になってね」という手紙と共に、朝食が置かれていた。

「......ほんとにいい子だよなぁ萌音って」

俺はリンを見る。

「こっちをじっと見るのはやめてくれるかしら。あの時は悪かったわよ....」

「ほんとだぞ全く。リンお手製ダークマターを無理やり口に入れやがって....」

死にかけたんだぞ全く.....。


萌音が作ってくれた朝食を口に運ぶ。

「....やっぱり萌音が作る料理は美味しいんだよな」

この2年間、誰かが作ってくれた、まともな料理を食べたことはなかった。

この幸せを噛み締めながら料理を口に運ぶ。

「康輔のより美味しいのよね」

「自分はまともなの作れなくて押し付けるように調理させてた奴が何言ってんだ?その通りだけど」

「しょうがないじゃない。頑張ってもダークマターになっちゃうんだがら」


「平和ってのはいいもんだよなぁ...」

「そうねぇ〜」

この2年間は修行と実践の日々だった。

見たくないものもたくさん見てきた。

「でも、あんたは本当に誰かが死ぬことを嫌ってたわね。少なくともあんたと関わったやつは誰も死んでないし...。もちろん魔物は例外だけど」

「そりゃそうだろ。見知った顔が死ぬのなんて嫌なんだよ。まぁ、例外もいるけど」

「仲間が操られたり、やられかけたりしたらすごく怒ってたものね」

ムカつくから仕方ない。


「この世界は表面上は平和ね....」

不意にそんなことをリンが言ってきた。

「どういう意味だ?」

「なんでもないわ。気にしないでちょうだい」

なんで悲しい目で俺を見るんだ?

.......よくわからないが、リンにはリンなりの何かがあるんだろう。


スマホを見ていると、アラームが鳴った。

「もう12時か。そろそろ行かないと」

「そうね」

俺らは支度を済ませ、家を出た。もちろん、戸締りはしっかりとして。

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