第32話
ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ*٨ـﮩﮩ٨ـﮩ٨ـﮩﮩ*٨ﮩﮩﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩﮩ*ﮩ٨ـﮩﮩ٨ـﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩﮩ
真っ暗で 音のない空間
あったかくて フワフワと
宙に浮かんでるような感覚
・・・・・・そういえば
どこかに 向かっていたような
どこ…だっけ…
『……ミ…』
ん?・・・何か聞こえた?・・・
『・・・・・アミ・・・アミ、起きろ!』
あ、私の名前…
「・・・あ…」
『おい!俺の声、忘れたのか?』
・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
・・・・・聞き覚えのある懐かしい声
・・・・忘れるはずもない
物心ついた時から
一緒に居たんだから
・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
「に…にぃに…?
ねぇ!にぃになの?!」
『あ!やっぱ 忘れてただろ?
俺、可哀想っ!!!』
「忘れてない!…
突然の事で 混乱しただけだし!」
『アミ…元気だった?
あ、今はそれどころじゃないか…
アハハハ !!!!』
「にぃに…
ごめん…っ…
あの日、一緒に行けなくて…」
『…アミは 謝るな!
謝らないといけないのは俺の方…
体が弱いせいで
皆に面倒ばかり掛けてたし…
ずっとアミの自由を奪ってるって
思ってたから…
そろそろ自立しなきゃ…って
みんなに迷惑かけないように…
あの日は わざと
怒らせることを言ったんだ…』
*・゚・*:.。.*.。.:
"お前なんか、もう必要ないっ !!!!"
"鬱陶しいんだよっ!!!!"
"にぃになんか、大っ嫌いっ!!!"
"…顔も見たくないっ !!!!"
*・゚・*:.。.*.。.:
「怒りに任せて
あんなこと 言わなきゃ良かった…
あの日からホントに
顔が見れなくなっちゃって…っ…」
『ははっ…世話してくれてる妹に
あんなこと言って…
バチが当たったんだ・・・』
「自由を奪われているなんて
思ったことない!
私は、ずっと にぃにの世話をするって
小さい頃から決めていたんだよ…」
『アミには ・・・
俺の出来なかったことを
たくさんやって欲しかった…
友達と遊んだり、恋愛したり…』
── 恋愛 ・・・?
「・・・私は にぃにの傍に居たかったよ」
『思っていることは
ちゃんと言葉にするべきだった
アミが居てくれて、助かってたのに・・・
"いつもありがとう"って、
いうべきなのに・・・
嫌な思いをさせて、ごめんな』
「にぃに・・・もう謝らないで・・・
顔、見せてよ・・・
真っ暗で…怖いよぉ・・・」
『いや、そろそろ 戻るよ…
いつまでも待たせるのは可哀想だ…
俺が出来なかった親孝行、頼むな!』
「これが最後みたいな
言い方しないで…
今、そっちに行く…っ…
今度こそ…にぃにと一緒にいる…」
『…ダメだ !!』
「待って!行かないでよっ!」
『…幸せになれ』
「えっ?…」
── 幸せ?…
『不器用なところはあるけど
彼ならアミを任せられる…』
「彼…?」
── あ、私……っ…
『
── まさ…くに…そうだ…私は…
「にぃに…っ…ありがとう…」
『じゃあな…アミ!
…のんちゃんにも よろしく!』
誰もが
幸せになるよ、私…
── 大好きな まさくんと・・・ ──
ﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩ*٨ـﮩﮩ٨ـﮩ٨ـﮩﮩ*٨ﮩﮩﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩﮩ*ﮩ٨ـﮩﮩ٨ـﮩ٨ـﮩﮩ٨ﮩﮩ
「…ん〜」
ゆっくりと瞼をひらく…
"ここはどこ?"状態…
眩しい光が脳を少しずつ刺激する…
全身が痛い…
動かすことが出来ない…
何があったんだっけ?
まだボーッとしている
「病院…?」
「アミっ!!目が覚めたのね!」
「お母さん、…?」
「もう目を覚まさないんじゃ
…ないかって…っ…良かったぁ…っ…」
「…にぃにがね…っ…幸せになれって…
まさくんと…
幸せになれって…っうぅ…」
「フミが…ぁ……っ…」
夢枕の にぃにの言葉を伝えると
お母さんは 泣きながら笑っていた…
「…フミの分も
たっぷり親孝行してもらうわよ!」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
会社では
お母さんからの電話で
安堵したお父さん、
ちょうど社長室に居た のんちゃんは
泣いてたらしい
*・゚・*:.。.*.。.:
定時で帰るため
急いで事務処理をしていた
その時…望さんが慌ててやってきた
「マサっ!!
アミが目を覚ましたぞ!
こっちは良いから、行ってこい!」
「えっ!…は、はいっ!!」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
病院に着くと
"開くの遅せぇよっ!!!!"
自動ドア、数十cmの隙間をすり抜け…
エレベーターのボタンを
連打する時間も無駄だろ…
「廊下は走らないでくださいっっ!!!!」
看護師さんに注意されつつ
「すみませんっ!!」
と、謝りながら走った
"歩いてられるかっ!!"
ネクタイを緩めながら
階段を駆け上がる
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
病室に入ると アミが居ない…
"どこだ?"
「あら、
来てくれたの?…心配掛けたわね…」
後ろから来たお義母さんに
声を掛けられた
「アミは…どこに……」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
病院の中庭…
車椅子に腰かけて
空を見上げる
夕焼けの空に
オレンジ色の雲が流れていく
少しだけ太陽の香りが残っている風を
全身に浴びながら
ひざ掛けを取りに病室に戻った
お母さんを待っていた
本当は歩きたかったけど
目を覚ますのに
1週間以上掛かってしまい
筋力が落ちてるから歩けなくて
車椅子で移動…
明日から、リハビリが始まる
早く帰りたい…
帰って まさくんに…
「風邪ひくぞ…」
・・・あぁ、この声は
まさくんは 回り込んで
膝掛けを 大きく広げて
私の体を包んでくれた
「まさくん、心配かけて…っ…」
「・・・・・・っ・・・」
グシャっと顔をゆがめ
今にも泣きそうな まさくんが
私の頬を触ったと思ったら
優しく抱きしめてくれた
まさくんに 抱きしめられることが
こんなに幸せなことだったなんて…
「…アミっ……」
まさくんに 名前を呼ばれることが
こんなに嬉しいことだったなんて…
あったかい…
「まさくん…ただいま…」
「おかえり、アミ…」
多くの言葉を交わさなくても わかる…
私たちはお互いを
必要としていることを…
*・゚・*:.。.*.。.:
かろうじて動く右腕を
俺の背中に回すと
アミを包んでいた腕に
さらに力を込めた
「い、痛いよ…まさくん(>_<)」
「あ、ごめん!!Σ(´□`;)」
「私が"おかえり"って
言わなきゃならなかったのに(ノ∀≦。)」
「そういえば、そうだな…((´∀`*))」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
「もう少し入院しないと
いけないみたいだな」
「うん、リハビリして
落ちた筋力戻さないと帰れないって…」
「待ってるから…ゆっくり静養…
ん〜・・・いや、ダメだ!
たくさん飯食って、ぐっすり眠って
しっかりリハビリして…
早く帰ってこい!」
「うわぁ…出たよ、鬼がぁ( *¯ ³¯*)」
「…返事は?」
「…はいはい…(ノ∀`)フフフッ」
「さっき、アミが助けた
学生さんが病室に来てた…
お礼、言ってたよ」
「転んだ時 ズボンも破れちゃって
血を流してたの…
結構 鼻血も出てたし…
あの後 大丈夫だったかなぁ…
すごく痛そうだったぁ」
「人の心配してる場合か?!
アミの方が重傷だったんだぞ!٩(◦`^´◦)۶
…ったく、アミらしいというか
何というか…(。´-д-)ハァ-」
ため息をついたかと思えば
ふわっと
柔らかい笑顔を浮かべた まさくん…
「病室に 戻ろう…」
「うん!」
*・゚・*:.。.*.。.:
思うように体が動かなくて
弱音を吐きたくなる時もあったけど
早く元の生活に戻れるように
努力した
帰るところは ただひとつ
あなたの待つ 家へ
早く帰ろう
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