続 桜ノ巫女伝

益荒レヲ

桜ノ巫女伝 序章第一節 前書

 時ハ西暦××××年。人間ノタメノ科学ハ発展シ、暮ラシハ豊カニ、ソシテ余裕ノ有ルモノヘトナッテイッタ。利便性ヲ追求シ、マワリヲ見ルコトヲヤメタ。ソシテ人間ハ「自然」ヘノ畏怖ヲ、イツシカ忘レテイッタ。科学ノ力、ツマリ人間ノ力、己ノ力ニヨッテ自然ヲ意ノママニ出来ルト思イ上ガリ、自然ヲ、世界ヲ破壊シテイッタ。


 ダガソンナワケガアルハズモナク。人間ハ「自然」カラノ報復ヲ受ケルコトトナル。

コノ世界ニハ神ト呼バレル創造主、ソシテ世界ノ均衡ヲ保チ、秩序ヲ守ル存在ガイタ。人間ノアズカリ知ラヌトコロデ神ハソノ力ヲ使イ、世界ニ存在スル人間ヲ守ッテキタ。カツテハ人々ハ皆彼ノ神ヲ祀リ、敬ッテイタハズダッタ。シカシ人々ハ忘レタ。忘レテシマッタ。世界ヲ全テ解明デキルト勘違イシテシマッタ。人間ニヨル世界ノ破壊ガアマリニモ目ニ余ル行為ト成リ果テタコトデ、神ハ人間ヲ一掃スルコトヲ決意シタ。山ハ燃エ、炎ハ空スラ燃エ尽クスカノ如ク立チ上リ、海ハ荒レ、全テノ生命ヲ飲ミ込マントシタ。……アレハマサシク、神ノ御業ト言ウベキモノダッタ。全テノ人間ハ死ヲ覚悟スルホカナカッタ。


 シカシ我々ハ生キ残ッタ。救ワレタノダ。一人ノ巫女ニヨッテ。

彼女ハ我々ニ代ワリ神へ許シヲ乞イ、己ノ身ト引キ換エニ全テノ人間ヲ守ッタノダ。

我々ハコノコトヲ、彼女ノ献身ヲ、忘レテハナラナイ。細カナ記録ヲ残シ、彼女ノコトヲ後世マデ、未来永劫語リ継グベキダ。


 ソウ考エタ私ハ、彼女ノコトヲ、……「××」ノコトヲ、記憶ノ限リ全テ記録シヨウト決メタ。コレハ私ノ仕事ダ。彼女ノシタコトヲ誰ヨリモ近クデ見テイタ私デナケレバ出来ナイ、私ガシナケレバナラナイコトダ。ソシテコレハ、彼女ヲ止メラレナカッタ私ノ、彼女ノ命ヲ守レナカッタ私ノセメテモノ贖罪デモアル。私ハ今デモ、他ニ何カ手ハナカッタノカ、彼女ヲ助ケル術ガアッタノデハナイカ。ソンナ疑問ヲ抱イテイル。赦シテクレ、××。私ハ君ヲ愛シテイタ。愛シテイタノニ。


嗚呼、君ハ最期、幸福ダッタロウカ?

ソシテセメテ、君ヲ―――――

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