第1話

三年前

「敬天愛人、これは西郷南洲翁の座右の銘であり……」

 今日は授与式、プログラムの代表取締役の何気ない話が続く中、俺は緊張している。なぜなら総合1位の発表があるからだ。総合1位は学園での生徒会への参加権をもらえるからだ。この日のために自分よりできない二才の話を聞き、年下たちに教え、自分自身も文武に励んでいたのである。

「そして、総合1位は山下くん」

 歓声が上がる。「やった」心の中でそう思いながらも冷静な顔で壇上へ上がる。

「我々は、切磋琢磨し、人を愛し、全てに感謝しながらここまで頑張ってきました。そして、僕は総合1位の座を有難く思うと共に、関わってきたすべての人々に感謝いたします。ありがとうございました。これからは、生徒会の一員として日々精進していきたいと思います」

「素晴らしい、学園でも頑張ってください」

「はい」

「それでは、学園への進学者の発表と人数の関係による他学園への進学の通知をする……」

 うまくいった。これで僕も

『輝くん起きて』


 その声で目を覚ました。今日は高校の始業式だった。あれからうまくいくはずっだたのに。そんな考えに頭を支配された中で始業式に臨んだ。無事終わり、教室に戻っても変わらなっかた。

『え、どういうこと』『まじか、すげー』歓声が上がった。どういうことか、生徒会から派遣された担任替わりの話を聞くとどうやらこのクラスに転校生が来るようだ。このクラスはc組高校から入る人はf組、一般生はd,e組でa〜cは特別なのである。そんな中、転校となると入試で秘匿された特別アンサーを答えた強者だけだ。

 生徒会の人に連れられて一人の女生徒が教室へ入る。

「自己紹介お願いします」

「重富祈里です。よろしくお願いします」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る