アノコノハナシ

@marumarumarumori

大学の先輩の場合

え?取材?


いいけど.........何でまた俺なんだ?


.......暇だから別にいいだろ?


余計なお世話だよ!!


ったく、そんなに俺が暇そうに見えるのか?


..........見える?


あぁ、そうかよ!!


それで?何を聞きたいんだ?


.................とっておきの怪談?


何でまた、そんなものを聞くんだ?


.....あぁ、そっか。


お前って、確か、民俗学に興味を持ってたっけ。


なるほどなるほど。


けど、俺はホラー映画並みの恐怖体験はしてないぞ。


殺人鬼にも会ってないし、変な土着信仰のある村にも行ってないし..........


って、何だよ!!その顔は!!


だから言っただろ!!俺はそんなにヤバい体験はしてないって!!


しいて言うなら、ガキの頃に変な女に会った話ぐらいしかないけど...........


.....は?その話を詳しく聞かせろ?


別に大した話じゃないけど.........いいのか?


絶対に後悔しないか?


.........そうかよ。


それじゃあ、話すとしますかね。


俺のじいちゃんが暮らしていた町は、いわゆる、ドがつく程の田舎なんだよ。


あ、一応言っとくが、その町は土着信仰とかカルト宗教は一切ない、ただのド田舎なんだけどな。


......まぁ、移動手段がアレだけど。


んで............じいちゃんの家に来ていた時に、めちゃくちゃ雨が降ってた日があって、その時に、じいちゃんが傘を持たずに出かけたことに気がついた俺は、急いでじいちゃん用の傘を持って、じいちゃんを追いかけたんだけど......結局、追いつけなくて、歩き疲れた俺は、バス停らしきところのベンチで座ってたわけよ。


そうしたら......突然、変な女が隣に現れたんだよ。


女って言っても、貞子みたいな黒髪ロングと白いワンピース的なやつじゃなくて、セーラー服を来ていて、見た目的には、高校生みたいな感じだったな。


けど.........何というか、顔だけは覚えてないんだよな。


あ、別に、その女の顔が地味だからって意味じゃないぞ!!


ただ単に、あの時のことを思い返そうとしても、何故だかあの女...........いや、の顔が思い出せないんだよ。


確かに、顔は見たはずなんだけどな............


とにかく、アノコは俺の隣に座っていて、当時の俺は、バスでも待っているのかな〜って思ってたんだけど......どういうわけか、俺の顔をジッと見つめていたんだよ。


そりゃまぁ、知らない人...........ましてや、自分よりも年上の女に見つめられてたもんだから、俺はアノコに対して、少しだけビビってたんだ。


だけど......アノコは、そんな俺に向けて、飴を差し出してきたんだよ。


............その飴を食べたのかって?


まさか!!


飴って言っても、赤い飴と青い飴の二種類で、どこからどう見ても、怪しさ満載だったもんだから、要らないって言って断ったわ。


そうしたら、アノコはあり得ない角度に傾げると、こう言ったんだ。


「要らないの?」


って。


その瞬間、アノコの袖の中から、たくさんの赤い飴と青い飴が出てきて


「食べる?」


とか言ってたんだよ。


それで、俺はアノコが本格的にヤバい奴だって分かったんだろうな。


俺は、その場から全速力で逃げたわ。


結局......じいちゃんは、雨が降り始めた時に家に帰っていたらしくって、俺の努力は無駄だったってことが判明して、俺は、恐怖と悔しさが混じった感情でワンワン泣いてたわけよ。


だけど.......アノコのことをじいちゃんに話したら、じいちゃんの顔が変わったことは覚えてる。


何というか............触れてはならないものを触った、的な感じだったような気がするな。


でも、それ以降、夏休みにじいちゃんの家に行かなくなったんだよ。


親父曰く、じいちゃんから帰省するなって言われてたっぽい。


理由は今でも分かんない。


と言うか、何年か前にじいちゃんが死んじまったから、真相は闇の中........ってことだな。


どうだ?少しはいいネタになっただろ?


............え?その町はどこにあるのかって?


そこに行って何を調べるつもりだよ?


........アノコについて調べるぅ!?


確かに、アノコはお前にとってはいいネタになるかもしれないけど.................俺的には、あんまり深く関わらない方がいいと思うぞ。


ほら、よく言うだろ。


物事には、触れてはならない闇があるって。


............その根拠はどこにあるのかって?


......お前もそのうち分かるよ。


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