魔王?それならバッグについてますが

已己巳己心

第1話「ずるくないか?魔王様」

自転車は気持ちいい。風がふいたときにいい感じに首元が涼しくなるからだ。

この涼しさを求めて乗っているといっても過言ではない。

ずっと自転車に乗り続けたんだ。雨の日も雪の日も。

だが、ハンドルが抜けるとは思ってなかった。まさか車道で、車が通る瞬間に。


まぁ、死んだんだ。

そして今それっぽい神聖な部屋にいるんだ。

そうだ、僕の名前を言おう。僕は柊守。ひらがなでひいらぎまもるだ。

14歳なりたての中学2年だ。いいだろ?青春真っ只中だ!!

__くそがよ。てか俺死んだんじゃなかったのかな。

それにしてもすごい部屋だ。

周りを見渡してみると金、金、金。豪華だな。

こうゆうのって案内役がいるんだろうな__


「あー!!また人が来てるじゃないですかー!!」


どっかから声が聞こえる。


「はいこんにちわ。わたくし、女神でーす!!君はー!!選ばれましたー!!」


うっさいわ。てかスピーカーあるし。ここから声出てんのか。文句言お。


「すみませーん、音大きいですよー!!そして何なんですかここはー?」


「あっれー?あー!!スミマセンー!!音量最大でしたー!!」


女神が答える。良かった、あっちに声が届かなかったら絶望だったな。


「とりあえず今急いでるんで簡潔に説明しますよー!!」


は?さほど音量が変わってないように感じるのは俺だけか?


「今から君には魔王によって壊されていく世界を救ってもらいますー!!」


わぁ大役。じゃねぇよ何だこの展開は。


「普段でしたら特殊能力、チートを譲渡するのですがやはり今時間がなくて__ 」


なんだこの女神は。時間くらいありあまるほどあるだろ。

「なんで時間ないんですかー?いまいち状況が読み込めないんですがー?」


「まことにすみませんー!!ですが最近魔王が__ 」


女神が説明している間、なにもないはずの空間にヒビが入る。そしてそのヒビが大きくなる。そしてそこから頭に大きな口が一つあっておそらく魔物用のスーツみたいなものを羽織った人形の生物が現れる。そして女神は言った。


「__ここの部屋にいる状態の転生する前の人達を襲うんですよ。最近。」


え?ずるくないか?魔王には魔族の誇りとかなかったっけ?

そうか。生存競争だもんな。うん。終わった。

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