第107話 いつまでも続けて…🛤️6(ハッピーエンドは永遠に!)

【異世界の警備会社〔DOSUM〕ドゥーサムで…………】




「お帰り、ベルフィール君!」


「社長、只今戻りました」


「今回は、よく頑張ったと報告も受けてるよ。良かったじゃないか」


「ありがとうございます…………」




「では、“召喚手帳しょうかんてちょう”を返してもらおうか、ベルフィール君」






「社長…………“召喚手帳”は…………無くしてしまいました!」




「…………………………………………………」




「申し訳ありません。あたしの不注意です……」




「ベルフィール君?…………君は、それでいいのかい?」




「はい。…………どうぞ、クビにしてください」




「…………そうか…………それでは、君には会社をやめてもらおう……残念だ……」




「いいえ社長、ありがとうございます。…………そして、今までありがとうございました」




「……あ!待ち給え!…………ベルフィール君、これは退職金だ!」




「社長、あたしは自分で辞めるんです。退職金など必要ありません…………」




「いや、これは大切なものだ。大事に使ってほしい!……ただし、君が本当に寂しくて悲しくなったら、この蓋を開けて欲しい。……絶対無駄にするなよ!」



「社長、ありがとうございます。では、失礼します…………」




「う~ん…………彼女の意思は、硬かったなあ~」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


岸川総司きしかわ そうじのアパートでは…………】



「…………あはぁ~……もう朝か……ん?……僕は、ソファーで寝たんだ……」


 昨日は、どうやって家に帰ってきたのか覚えてないや。増して、どうやってここに潜り込んだかも…………ん~温かいなあ~この場所は…………




「……あれ?……なんだこの枕の匂い?……今まで気がつかなかったけど、ずいぶんごつごつしているなあ………」



くんくんっ……懐かしいなあ



 僕は、起き上がって頭の所にある枕を触ってみた。どうも中に何かが入っているようだ。



「え?……こ、これは!……ベルの靴下じゃないか?…………ん?中に何か入っているぞ……………」



 妙に大きな靴下の中には、長方形の小さなノートのようなものが、入っていた。



「こ、こ、これは…………“召喚手帳”じゃないか。しかもベルフィールって、書いてある」



「そうか!…………よし!……………」




 僕は、あのページを探した。すぐに見つかったので、それを見ながら、リビングのテーブルに大きく書き記した。



 途端に、テーブルが光出し、しばらくすると眩い光の雲に包まれた。


 さほど時間を要せず、その光は消え始めた。



 すると、そこには、あのベルフィールが笑顔でこちらを見ていた。



「べるぅーーーーーー!」


「そぅじーーーーーー!」



 ベルは、勢い良くテーブルから跳ね上がり、僕に向かって飛び込んで来た!



「そぅじ~、あたし会社を首になっちゃった!行くとこないから、面倒みてもらっていい?」


「ああ、もちろんさ……どんな面倒だって、僕が生きている限り、みてあげるよ!……べるぅ~結婚しよーーーー!」


「うん!…………ありがとう!」



 僕達は、歓喜の雄叫びを上げながら、抱き合って部屋中を駆け回った。



 その時、玄関の扉が開き、誰かが入ってきた。


「あああ!やっぱり…………良かったなあ総司」

「おめでとうキッシー!」

「最高だね……ベルちゃん!」

「よくやったなあ……おまえ~」

「おめでとうございま~す!」

「岸川さん、おめでとう&おめでとうございま~す!」



 狭い岸川教頭の部屋は、もう足の踏み場も無いくらい、大喜びの仲間でグチャグチャになっていった。

 それでも、総司とベルフィールは、嬉しい涙を流しながら、2人で抱き合っていた。















「ところで、そぅじぃ…………見つけるの遅いよ!……あれだけ、ソファーで寝てって、言ったのに!」


「ああ、ごめんごめん。昨日は、もう何がなんだか分からなかったんだ!」



「ふーん。……それでさ、どおう?…………あたしの、ホワイトデーの贈り物は?」


「ああ、そーか!!うん、さいこーーーだよーーー!!」


■□

ベルだって、一か八かの大勝負に出たのです。

https://kakuyomu.jp/works/16817330668420483875/episodes/16817330669455526202




(エピローグにつづく)

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