第90話 実家でナイト🎍4(湯煙の中で)

〔👀ベル視点で……〕



 かっぽん♪………かっーぽん(^^♪……

 

 うあああ、夏休みに行った温泉より、響く~なあ~。しかも、裸で気持ちいいや……


「うわあーーー!すっごーーーく広い!……1・2・3……へえ、7つもある!」


 よーし、はじめはこのピンクのお湯のお風呂から

 …………足を入れて……うーん、少し熱いけど……うん、大丈夫。

 ………ゆっくり沈んで、首まで……はあああ~~~~


「ベルちゃんは、お風呂が好きなんだね!」


 ソージのお母さんもピンクのお風呂に入ってきた。

 ……さすがに沈むのは早いや。慣れてる~


「あたしね……この世界に来て、初めてこんな大きなお風呂があるって分かったの。だから、もう楽しくって仕方ないの」


「そうなんだ。うちにいる間に、たっくさんお風呂で遊んでいってね!この大浴場は、7つのお風呂に分かれていて、一つ一つ特徴があるのよ」


 そう言えば、お風呂のお湯に、それぞれ色がついている!今は、他にお客さんが居ないから、泳いじゃおっかな~


「ベルちゃん、泳いで見たら?……いろんなお風呂があって楽しめるわよ」


「え?泳いでも怒らない?」


「大丈夫よ、今は貸し切りにしたから、他に誰も入ってこないわよ!そんな、誰が怒るの?」


「……だって……お風呂で泳いだらダメって……ソージが……」


「あははははは、総司がそんなこと言うの?

 ……だって、あの子が一番お風呂で泳いでたのよ!……だから、この大浴場だって、あの子が泳げるようにこんなに大きくしたんだから!

 …………いいからいっぱい泳いで頂戴、ベルちゃんは気にしなくていいからね!」


「うん!ありがとうお母さん!……いっぱい泳ぐわ!」


 あたしは、嬉しくってお風呂の中でお母さんに思わず抱きついちゃった。

 お母さんは、抱きついたあたしの頭を優しく撫でながら、とっても嬉しそうにしていた。



「お母さんって、きれいだね!肌もきれいだし、ここもきれい……」


「あら、ありがと……ベルちゃんだってつるつるのお肌で、気持ちいいいわよ。それに大っきいしいい形よ、うらやましいわ!」



「……でもねえ~、ソージは“あんまり見せるなよ”って言うんだよ。

 ……そして、すぐ居なくなって見てくれないよ……」


「ああ、うん。

 ……ベルちゃん、ごめんよ。

 総司はね、きっとベルちゃんが大切なんだよ。


 だから、あんまり人に見せたくないんだわ。それにね、あの子は照れ屋だから、そのことをちゃあんと言えないのよ……ほんとにすまないねエ。


 ……でもね、きっと大切にするから、安心してね」



 なんか、お母さん優しいなあ~そう言えば、ソージといる時も、こんな感じがしてたな~




「……ところでお母さん、あたしはエルフなのよ。違う世界から来たのに、どうしてそんなに優しくしてくれるの?」


「私は、あなたがエルフでも、こっちの世界の女の子でも、構わないよ。関係ないじゃないか、ねえ」


「お母さんは、エルフが怖くはないの?」


「どうしてそんなこと聞くの?」


「……うんとね、エルフは力持ちで、魔法を使ったりするのよ!こっちの世界に来て、怖いって言われたことは、たくさんあったの……」


「総司も怖いって言ったかい?」


「いいえ。ソージは、最初から優しくしてくれたわ!ゴハンを作ってくれたし、洗濯も掃除もしてくれたの」


「それじゃ、私も同じだと思ってよ……別に力が強くても、それはあなたのいいところよ。

 ……それでみんなの役に立っているんでしょ」


「うん、防衛隊ではよく褒められるの」


「それで、いいじゃない。あたしの知り合いのエルフちゃんも、みんなと違う力をもっていたけど、頑張っていたわよ」


「え?お母さん、他にもエルフを知ってるの?」


「うん、去年うちのホテルで働いてたわよ。

 …………何か、友達のエルフを探すんだって言って、うちで働いてお金を貯めてたの。

 ……可愛い女の子で、“ジョンちゃん”っていう子よ……」


「ジョンちゃん?……ジョセフィーヌじゃなかった?」


「ああそうそう、本当は“ジョセフィーヌ”って言うんだけど、みんなは“ジョンちゃん”って呼んでたわよ」





「お母さん、そのジョンちゃんは、あたしの友達よ!」


「あら、それじゃあジョンちゃんが探していたのは、あなたなの?」


「うん、そうなの。夏休みに会えたのよ、それから今も楽しくやってるわ。

 ……ソージも一緒に遊んでるから知ってるよ!」



「それは、良かったね……お正月になったらね、ジョンちゃんが遊びに来ることになってるの……楽しみね!」


「うん、ここでジョンちゃんに会えるなんて、また楽しい冬休みなりそう!」





 あたし、お母さんといろんなお風呂で泳いじゃった!お母さんも大っきな声で笑うから、あたしも負けずに大笑いしちゃった。




 しばらく遊んだ後、お風呂から出て服を着ようと思ったら、お母さんがいいものを貸してくれた。


「ベルちゃん、今日はこれを着て見てよ。浴衣っていってお風呂上りから夜寝る時に着るものヨ。ベルちゃんには、特別にきれいなものを持ってきたのよ」


「うわあー、本物の着物だよ、これ!……きれいだね……そう言えば、お祭りとかで着ている人を見たことがあるわ!」


「さ、早く体を拭いてね、着るのを手伝ってあげるから……」


 お風呂から出て、洋服を脱いだり着たりするところで、あたしとお母さんは、浴衣を着る準備を始めた。

 お母さんは、あたしに浴衣を着せるために、自分は裸のまま忙しく動いた。


「さあ、これを羽織って、ここを押さえて………帯を結ぶわね!」


「あれ?……これはいいの?」


「ああ、浴衣はね、着物とおんなじだからこれだけでいいのよ!うふっ!」


 何だか、簡単に浴衣は着れるんだ。

 鏡で見ると、全身が布で覆われているけど、涼しい感じがした。でも、紺色の夜空に、無数の星が光っているようなこの浴衣は、とってもカッコよく思えた。


ソージは、気に入ってくれるかなあ~


 そんなことを考えていると、お母さんもあっという間に浴衣を着て、あたしの手を引っ張って、

「さあ、総司に見せに行ましょう!」

と、部屋に向かって歩き出した。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〔👀総司視点に戻る……〕


 やっぱり、女の子のお風呂は長いなあ~先に、部屋に帰ってきたけど、廊下で待ってなくて良かったかなあ。


 ベルは、母ちゃんに困っていないか心配だ。母ちゃんは、すぐの人にお節介なことをしたがる癖があるんだよな~

 お陰で、僕も人の面倒を見るのが好きになったんだけど……



『 コン、コン、コン………総司、戻ったから開けておくれ!』



「あーはいはい、今、開けますよ!」



「たっだいま~ソージ!」


「お!ベル、浴衣じゃないか。それも、ホテルの浴衣じゃなくて、しっかりした余所行きの浴衣だ、どうしたんだよ?これ」


「お母さんが、着せてくれたのよ!」



「これはね、いつかお前がお嫁さんを連れたきたら着せようと思って、作っておいたのよ!」


「まあた、母ちゃんは……」


「どおお?ソージ」

 ベルが、自信なさそうに、浴衣の袖を内側から掴み、両手を真横に伸ばしながら、一回りして見せてくれた。


「お、おお、あああ。いいぞ、似合っているよ、ベル!」




 何だか、僕もベルもお互いぎこちなく照れているのが分かった。




「じゃあ、出かけるよ!総司もこれに着替えて……」


 母ちゃんは、僕の浴衣も用意していた。


「ああ、そうか!……僕達が寝る部屋に行くんだね」


「何言ってんだい、お前達が寝るのは、この部屋だよ。………他はもう満室だからね。観念をし!」


「えええっ?……」


「うちのホテル一番のスウィートルームだよ。最高だよ!

 ……………………これから行くのは、寝る前の・お・楽・し・み・!」


「ええええええ?……どこに行くんだよ!」


「決まってるじゃないか。ベルちゃんに楽しんでもらう場所さ………さあ、地下3階へ行くよ!」


「ええええええええええええ?地下3階?……ベル~大丈夫かなあ?」




「何言っての、お母さんが楽しいところって言ってんだから、大丈夫よ!楽しみ~」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る