第87話 実家でナイト🎍1(お正月の計画)

「ねえベルちゃん、ところでお正月はどうするの?」

「お正月?」

「そうよ……何か予定あるの?」

「え?……何?お正月って?」


「あっちゃー………ベルちゃんには、お正月から説明しないとだめか!

 …………うーっ。……そうだ、キッシーのところへ行こう!」









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……ソージ~、ソージ~、……あのね~お正月だって!」


 何をいきなりそんなこと言ってんだ?おいおい、ここは職員室だぞ。


「ベル、しっ!……そんなに騒がないでくれるか?」

「あ!ごめんソージ」


「えっと、教頭先生ごめんなさい。私がいけないの……

 ベルちゃんが“お正月”ってわからないっていうから、教頭先生に教えてもらおうと思って連れて来たのよ」


 なんか、メグミが焦ってベルを庇っているけど、なんか顔が笑っているから変な話じゃないのかなあ~




「んー、正月ってのは、1年の始まりをお祝いする行事だぞ。まあ、学校は4月から始まるけど、カレンダーの1年は、1月1日の正月から始まるんだ」


「へー、そうなんだ。お祝いするんなら、また、ご馳走食べれるの?」


「そうそう、ベルちゃん、お祭りみたいなものだから、ご馳走だけじゃなくて、初詣といって神社にお参りしたり、実家に帰ったりするのよ」




「まあ、そうだな。ベル、お正月はまた違った料理を作るから楽しみにしていいよ!」


「ねえねえ、“実家”って何?どっか面白いとこなの?」

 

 そういや、ベルは自由にもとの世界へ帰れないから、実家の話はしない方がいいのかなあ。




「キッシーは、実家に帰らないの?」


 おいおいメグミ、そんなことを聞いて、ベルが寂しがるんじゃないか?


「あ、ああ……僕は、別に実家に帰らなくても……」


「何言ってのキッシー、この際ベルちゃんを紹介してきたらいいじゃない!ベルちゃんだって、夏休みみたいに旅行がしたいよね~」


「夏休みの旅行は、楽しかったなあ~」





「ほら教頭先生、冬休みはベルちゃんを連れて実家へ行ってきたらどうですか?」


 急に話に割り込んで来たのは、南部校長だった。


「こ、校長先生、何をおっしゃってるんですか?僕は、ここを離れませんよ」


「いいじゃないですか。

 教頭先生の実家は少し遠いですが、近くに有名な動物園があるじゃないですか。ベル君に、いろいろな動物を見せてあげるのも、大切な研修ですよ」



「ソージ、動物園って何?」


「世界中のめずらしい動物が飼育されているんだよ。まあ、あそこは展示の仕方も凝っていて思い面白いんだ。僕も実家に帰るたびに行ってるんだけど……」


 まあ、あそこならベルも懐かしがるかもしれないしなあ~



「わあーあ、楽しそうだね!行きたいなあ~………メグちゃんも行こうよ~」


「…………うーーん、ごめんベルちゃん。

 私もお正月ね、もう旅行へ行く計画を立てたんだ。

 今回は、防衛隊は別行動ってことで、仲良くキッシーと実家生活を満喫してきなよ」



「岸川教頭先生、ぐずぐずしてると、業務命令を出しますよ!」


 あーあ、南部校長までも、ニヤニヤしがら、怖いこと言って。

 業務命令なんか出されたら、レポート書かなきゃならないじゃないか。

 しかもベルと一緒に旅行したレポートを、下手したら職員全員に回覧されてしまうかもしれない!



「は、はい、校長先生。行けばいいんでしょ、行けば!」



「そうですよ~、後少しだけなんですから、存分に楽しんで来てください」

 

 ああ、校長は、分かっているのか……………。

 そうだな、少しでもベルに楽しい思い出を残してやるか。


「じゃあベル、お正月は僕と一緒に旅行しようか?」


「やったー!また、楽しいことができるんだね!」



「まあ、少なくとも、僕が作る料理よりも美味しいものが食べられるぞ!………きっと父ちゃんが張り切るからなあ~」


 まあ、それがちょっと心配なんだけど、まあ久しぶりに家の料理も味見してみるかなあ~

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