第40話 がんばれ!宿泊の攻防戦💛8 (反省会…そして……)

「…だ~から…ウィ#…キャンプ…フィイヤーの…ウィッ#ク…女神様は~大切なの!!」

「あ、はいはい……松田先生は、もう酔ったんすっか?」

「酔ってないわよ?ウィッ#…私は、キャンプわひやー#ウィックの反省を……」


「わかったわよ…美子ちゃんは、一生懸命だからね~………私、松田先生を連れて先に休ませてもらうわね、……私も疲れたし……」


「じゃあ、お母さんお願いします」

「うん、任せて……さあ、美子ちゃん、行くわよ~、……みんなお休みね~」

「「「「「……お休みなさ~い……」」」」」


 肝試しの後、先生達は、共有テントに集まり、今日の下見の反省会を行っていた。

 というのは口実で、簡単なお摘みとアルコールで、親睦会を行っていた。


「それにしても、今日はベルちゃんにだいぶ助けられたね……」

 缶ビール片手に、養護教諭の細谷先生がまじまじとベルフィールを眺めた。


「そうだな、テントが飛ばされた時は、ベル先生の一言が無ければ、他の先生が手を放してしまって、大怪我をするところだったと聞いたよ」

と、小田先生が感心した。


「でもさー、ベル先生が、カレーのルーを食べたのは、笑ったすけどねあはは…」

「あ、こらあ…ベンちゃん、それを言うのか!…あれは、おいしそうに見えたんだぞ!!」

 ベルフィールも、笑いながら園部先生を怒っていた。


「うーん、何か思い出したら、また、辛くなってきたな~……教頭、ビールをもう1本くれ!」

「おいおい、ベル……大丈夫か?そんなに飲んで」

「だって、からかったんだぞ!……いいから寄こせって!……グビッ、グビッ…ゴクッ、ゴクッ……」


「ベルちゃんは、お酒にも強いんだなあ~……こりゃあ、教頭先生、勝てるのか??」

 細谷先生は、独り言のようにつぶやいたが、ベルフィールも岸川教頭も一向に気にするふうはなかった。


「おれも、ダメっす、眠いから先に寝るっすね……おやすみなさい」

 園部先生が、共有テントを後にした。


 すると、細谷先生が、小田先生に声を掛けた。

「今日は、夜も遅いから、私達も自分のテントに戻ることにしよう……」


「じゃあ、僕達も……」

と、ベルフィールに声を掛けようとした岸川教頭に向かって細谷先生が、

「申し訳ありませんが教頭先生、最後の始末は管理職としてしっかり頼みます。大事な責任者の出番です……共有テントといえど、後始末は大切ですからね……ベルちゃん、お手伝いよろしくね」

と、言い残してすぐにいなくなってしまった。


「え?え?……まったく、こんなところまで来て。もう、……ベル、ここのゴミを片付けてくれ」

「うん、わかったよ……」



「じゃあ、このテントの灯りを消すぞ……お前も自分のテントに戻れよ!」

「うん……」





「…………………ジジジジジジジジ…………よっしょ!……んん?……

 (僕の寝袋?……寝袋?……グギュ…あ!…寝袋?…グシュ…う!……狭いなー、子ども用だからな~ここに大人4人はきついか……)」


「……そうですよ………だから……はい!」


「え?……(おれの寝袋?)……どうすれと?……」


「教頭先生を優先にしますから……どうぞ……あちらで」


「ああ、はいはい……わかりましたよ……向こうへ行きますよ!」

 岸川教頭は、1人、自分の寝袋を担いで、共有テントへ入って寝たのであった。


 しばらくして、岸川教頭は目を覚ました。

 アルコールのせいもあってすぐに眠ったはずなのに、なぜか急に耳鳴りがした。

 あまりにも近くで異様な響きを感じた。


「(魔物か?……)」

 真っ暗闇で、彼は耳だけを澄ました。なぜか体は動かない。

「(金縛りか?……)」

 異様な緊迫感が走る。

「(ようやく、暗闇に目が慣れて来た!)」

 目の前に、白い2本のしなやかな棒のようなものがある。棒にしては、湾曲していてきれいだ。


 異常な音は、真後ろから響いている。

「(あ、首も回る!後ろを見るんだ!ゆっくり……ゆっくり……………あ!!!!)」


 その瞬間、岸川教頭は、すべてをあきらめた。そして、できるだけ、余計なことを考えないようにして朝まで耐えたのだった。


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