振り向けば遠く花火の御影だけ




 振り向けば遠く花火の御影おかげだけ


 🎆🎇🎆


 いよいよ花火が上がる季節になりました。

 みなさんは今年はもうご覧になったでしょうか? 僕はまだちゃんとは見ていません。でも、こないだ夜にコンビニに行く途中、遠くからどおん、と花火の音が聴こえてきました。何処かで花火大会をやっているようでした。

 勿論、僕は花火が好きなので音の出所を探すのですが、ちゃんとは見えませんでした。遠すぎて、街の輪郭越しに、微かに花火の余光が空を染めているのを見るのがやっとでした。ですが、じわと夜空を染める花火の余光というのも中々乙なものです。


 で、この俳句では御影おかげという言葉を使っていますが(読み方は「みかげ」でも可)、花火の余光、という意味で使っております。古くは星影という言葉があり、星影は星あかりを指す言葉だったりします。昔の人は、光に対しても〝影〟という言葉を当てたんですね。まるで、光と闇(影)が、同じ成分で出来ていると知っていたかのような印象を受けます。その実、光と闇は本当に科学的に同じ成分で出来ているのかもしれませんね。


 季語は「花火」です。

 音に振り返り、花火を見られない悔しさとかもどかしさとか、少し寂しい感じが伝わったなら上手くいったのかな、と思います。





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