乱取りの余熱皮ごと桃齧る



 乱取りの余熱 皮ごと桃齧る


 柔道の模擬戦を「乱取らんどり」と、いいます。この乱取りと基礎練習、身体作りを繰り返す事によって、柔道家は上達してゆきます。


 ただ、この乱取り稽古、滅茶苦茶きついです。少なくとも、僕がそれまでに体験したどんなスポーツや武道の稽古よりもきつかったです。特に、実力が拮抗した相手との乱取りは地獄です。

 当然、終わったらくたくたになります。道着から湯気も上がります。


 ある日、稽古を終えて家に帰ると、母が、キンキンに冷やした桃を用意してくれました。皮ごと齧りつきました。意識が吹っ飛びそうになるほど美味しかったです。


 ちなみに、僕は前話で喘息の俳句を詠みましたが、柔道をやったお陰でウソみたいに喘息が治りました。以前からそういう話は聞いていたのですが、ただの精神論だと半信半疑でした。喘息が酷すぎて治る気がしなかったのです。でも、二年程で本当に治りました。


 季語は「桃」です。

 転んでしまった話だけではつまらないので、今回は克服し、立ち上がった話をお届けしました。


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