永訣の友や流れ星が滲む
僕の古い友人を詠んだ俳句です。その友人は、とても物知りで頭が良く、武術の腕が立ち、でも、ちょっぴり臆病な性格をしておりました。
僕は過去に映像系の専門学校に通い、シナリオを学んでいたのですが、彼は、いつも僕のシナリオを高く評価してくれていました。彼とは意見が食い違い、ぶつかり合う事がしばしばありましたが、なんだかんだ、僕らは互いを高く評価していました。
ある時、僕たちは作品のロケハンで長野を訪れました。この時、また彼と意見が食い違って下準備が進まず、作品の完成は絶望的な状況でした。
それでも、僕らは細い糸口を辿り、夜の農道を歩いていました。
ふと、夜空を見上げると、そこには信じられないぐらい見事な星空がありました。億万の色彩が空一面に輝いて、たまに流れ星も見えます。一生忘れられない程に、美しい光景でした。
この出来事から二年後のある日、友人は交通事故に遭って他界してしまいました。
あれから時は巡り、今年も流れ星を見ました。流れ星を見ると、早世した友人を思い出します。それを素直に読んだ俳句です。
よお、Y。お前は最後の最後で俺の物語を信じきれなかったよな。けど、俺はまだ、自分の物語を信じているよ。本当は、ゆくゆくはお前を俺の右腕にしてやろうと思ってたんだ。
逝くのが早すぎなんだよ。
お前はあの頃も、何かにつけて判断が早かったな。でも、もう、お前を追い立てる物は何もない。決断を焦る必要もないんだ。そこでゆっくり見物しててくれ。
俺はもう少し、この淋しい道を進むから。
追伸 小説に、お前がモデルのキャラクターを登場させたよ。作中での職業は自衛官。お前に似て、まあまあ腹黒いキャラクターだ。文句があるならあの世で聞いてやるから、今は黙って見てろ。
人称がブレました。僕の一人称が「僕」になる前の関係なので、ご容赦ください。
季語は「流れ星」です。
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