17 談笑
そして、数十分後のこと。
「く…るしい…」
「やっぱ買いすぎたかなー?あはは」
「トマト鍋だけでも良かったじゃん!」
「また言うか!?俺は食えねぇんだってば!」
4人は作った2つの鍋を全て綺麗に平らげて、それぞれ床に横たわっていた。
満腹を通り越し、少しでも動くと出てきてしまいそうなほど苦しくなるまで食べたのなんて、いつぶりだろうか。
暫くは片付けも出来そうになかったため、4人はそのままの状態で談笑していた。
「もー俺これで帰んの無理!拓馬泊まっていい?」
「おー、いーよ。カズと佑も泊まってく?」
「いいのか?」
「うん、そうしよっかな…」
もう動きたくないという歩の一言で、全員が拓馬の家に泊まることとなった。
4人は修学旅行の夜のように、楽しく話を続けている。
「えっ、佑って弓道部だったの!?かっこいいー!」
「俺は歩の部活が意外だったかも。今はダンスしてるのに、元々は空手部だったなんてさ」
「俺が小さいから油断したでしょー、実は結構強いんだからね!俺身体小さいからさ~、護身用なのとあと舐められたくなくて!」
「カズはバスケ部だったんだ?」
「ああ、バスケは楽しかったよ。でも大学ではしないつもりなんだけどな」
「えーっ、身長高いのにもったいねぇ!俺と一緒にスポーツしようぜ?楽しいよ?」
大学の講義の話やサークルの話、これまでの部活の話などをしながら、話題はいつしか恋愛遍歴の話へと移っていく。
「なーなー、そういえば歩とカズはさ、彼女とかいないわけ?」
「えー、何突然、恋愛の話しちゃうの?」
歩は楽しそうにクスクスと笑い、その隣で和樹は首を振った。
「…俺は居ないな。歩は、まぁ」
「彼氏なら、いるよ?」
「「えっ!?」」
「…引いた?」
佑と拓馬は思わぬ告白に唖然としてしまう。
歩は少し気まずそうな顔をして頭を搔くが、2人はすんなりと歩の告白を受け入れた。
「引かないよ。ていうか恋人いるとか羨ましい!」
「男性だけが恋愛対象になる感じ?」
「うーん、男だけが好きって訳でもないなぁ…。俺はどっちかというとバイセクシャル?って言って分かるかな、男女どっちも好きになれるって感じ。男寄りではあるんだけどね」
「まじで!?…てか俺ん家泊まって大丈夫なの?彼氏さんに怒られない?」
「大丈夫大丈夫!!優しい人だからさ」
「歩には何もしないので許してください!って言っておいて!」
「ふふ、分かった」
すっかり修学旅行気分の彼等は、そのまま恋愛話へと移っていく。
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