第15話 幼馴染のライバル
葛城嵐志は南條公彦と紫堂光太郎と3人で行きつけのバーで酒を飲んでいた
「公彦はやり手の刑事で光太郎は凄腕バイヤーか…それに比べて俺はまだまだだな」
そう言いながら嵐志はため息を一つこぼした
「嵐志の親父さんが偉大すぎるだけだろう?あとむやの三代目として成功してるんだしさ…」
南條公彦はそう慰める
「そうだぜ〜嵐志だってこの前和菓子のコンクールで新人賞取ってたじゃんか!俺の会社でも話題に上がってたぞ」
紫堂光太郎が目を輝かせて嵐志を見つめながらそう言った
「あんなの…まだ通過点の一つだよ…目指すは和菓子コンクールで日本一になる事だからな」
嵐志はそう2人に対して決意表明とも取れる発言をした
「おお〜相変わらず目標が高いなぁ!」
「それよりお前達は2人とも時緒の事が昔から好きなんだよな…当の時緒はその事に気づいてないけど」
「それな!」
「時緒ちゃんは洋菓子作りに命をかけてるから恋愛には疎いんだよな…」
「時緒は昔からそうだからな…家で洋菓子の試作作ったりレシピを探しに書店巡ったりばかりして同級生とあまり交流してなかったんだよな」
「周りから浮いてたよね〜可愛いのに勿体無い…」
「まぁそのお陰で俺達は時緒ちゃんと仲良くなれたけどね」
「嵐志の家に遊びに行った時に紹介された時はあまりの可愛さに目を奪われたよね〜」
2人はよく嵐志の部屋で集まって雑談やゲームや勉強をしていた
ある日嵐志の部屋に勉強を教えてもらうために時緒が来た時に出会ったのだ
「頭が良い公彦が時緒に勉強を教えてたよな〜」
「そうそう!俺はもっぱら時緒ちゃんの試作品のお菓子食べる係だったよな(笑)」
「光太郎は何でも美味しいって言うから参考にならないってぶぅ垂れてたけどな(笑)」
「時緒ちゃんが持ってくる洋菓子が楽しみになってたよね〜本当に美味しかったし。あの時に時緒ちゃんの役に立てる仕事しようって決心してバイヤー目指したんだったな…」
昔話に花が咲く二十代前半の男3人組
そこに中年の男が声をかけた
「嵐志じゃねぇか!何だよ〜ここで飲んでたのか」
「柳叔父さん?」
柳は嵐志達の席に強引に同席して酒を注文した
「幼馴染3人で飲むなんて羨ましいねぇ…」
「柳さんはお仲間とかいないんですか?」
「いるにはいるけど酒癖悪いのが多くて疲れるんだよ…」
「あ〜それはね〜」
「マスターこの前卸した酒くれないか?」
「良いのかい?あれ希少な酒だろ?」
「良いんだよ!たまには未来を担う若者に良い酒奢るのも大人として格好良いだろ?」
柳が奢ってくれた酒は高級なシャンパンだった
「良いんですか?これ高いんじゃ…」
「遠慮するなって!そのうち出世したら返してくれたら良いからよ〜」
「あっ…そう言う事なんですね?」
「叔父さんらしいな…」
葛城柳はこうやって才能ある若者を見つけては酒を奢り恩を売ってるのだった
けっこう強かな性格の男である
そんな彼の職業は輸入品の卸し業である
この酒場もお得意先なのだらしい
その甲斐あってか柳は無駄に顔が広かった
酒を奢った若者の親とも知り合いになり、中には会社経営している人物もいるらしい
なかなか侮れない
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