第2話 あとむやの歴史
あとむやが創業したのは約100年前
創業者である葛城甚之丞(かつらぎしんのじょう)が和菓子の魅力に取り憑かれた事から始まった
ある日、若かりし甚之丞はとある和菓子屋で食べた饅頭に感激し自分もこんな和菓子が作りたいと思うようになった
和菓子界のレジェンドとも言える和菓子職人の元に足繁く通い弟子入りを志願した
1週間ほど通い詰めたのち弟子入りする事が出来た甚之丞は和菓子の奥深さに感銘を受けた
そして洋菓子も好きだった甚之丞は試行錯誤の末にあとむやの代表的な商品である「あとむ饅頭」を完成させた
そして弟子入りして10年後、独立して「菓子本舗あとむや」を創業するのだった
創業当初は客入りもまばらだったが、外国人客に「あとむ饅頭」が評判になり口コミで広がっていった
その後も和菓子と洋菓子のハイブリッド的な商品を多数取り揃えてその地位を確立していくのだった
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はてさて時緒が実家に帰って来て1週間ほど経った
今日は曽祖父である甚之丞の命日である
あとむやは臨時休業して家族総出で大恩寺にやって来ていた
「あら?時緒じゃ無いの!帰って来ていたのね〜久しぶりね!元気だったかしら?」
時緒に声をかけて来たのはこの寺に嫁いでいる伯母の新であった
「新伯母様!この通り元気ですわ!大祖父様の命日に間に合うように帰国したんです」
「そうだったのね!とりあえず法要が終わったら久しぶりにみんなで食事会でもしましょうよ」
「姉さんお寺を留守にして大丈夫なのかい?」
そう聞いて来たのは時緒の父で新の弟でもある東吾であった
「それなら心配しなくても良いよ。久しぶりに家族が揃ったんだからゆっくりしておいで」
そう言ってくれたのは新の夫であるこの寺の住職の大恩寺静であった
「ありがとうあなた…」
こうして2時間ほどの法要を終えたあとむやの面々は近くの小料理屋で食事会をする事にしたのだった
「姉さんと一緒に食事するなんて久しぶりだなぁ…元気そうで何よりだよ」
そう言ったのは葛城家の4兄弟の末っ子である葛城柳である
「そうね〜お姉さんがお寺に嫁ぐなんて思わなかったものね」
そう言ったのは東吾の妹で柳の姉に当たる葛城麦である
「うちの兄弟の頭文字を取ると「あとむや」になるんだよなぁ…新(あらた)東吾(とうご)麦(むぎ)柳(やなぎ)だからな…兄貴も自分の子供に「あとむや」になるように名前付けたんだよな〜」
東吾の子供も4人で上から嵐志(あらし)時緒(ときお)武蔵(むさし)山吹(やまぶき)と名付けられていた
「親父の名前が店の名称だからな…それだけ親父の事を尊敬してるって事だよ」
和やかな雰囲気で食事会は盛り上がりを見せるのだった
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