第42話
二回戦。
相手は飛剣使いのシーマ。
飛剣というのが何か分からなかったが、戦ってみてすぐに理解した。
シーマは剣を投げて攻撃してくる。
俺的に、これは剣術なのかと疑問に思ったが、正確に投擲するのも一つの技術なのだろう。
シーマとの戦いは、開始早々に眉間を狙って短剣を投げくると、すぐさま死角に移動してからの本命の投擲。
悪くないが作戦としてはありきたり。対処は容易だ。
飛んできた短剣を二本指で挟んで受け止めると、それを移動しているであろう先へと投げ返す。
動きを予測されていたシーマは本命を投擲できず投げ返されてきた短剣を払い落とす。
シーマは不敵に笑うと言った。
「やっぱりアンタは一筋縄ではいかないようだね」と。
彼女の笑みが殺気に満ちたものに変わり、何十本もの手持ちの剣を空に舞い上げた。
驚いたことにその全てが空中に浮いたまま、剣先を向けて俺を取り囲んでくる。
どうやらすべての剣に闘気を纏わせコントロールしているようだ。その技量には正直驚いた。
「フッフッフ、この技、百花繚乱から逃げられた者は一人もいないよ。殺しても反則にならないルールを恨むんだね」
シーマは残忍な顔で手をかざす。
剣が一斉に俺へと襲いかかる。
全方位からの攻撃など逃げ場が無い。
確かに一見そう思える。
しかし詰めが甘い。
仮にネロが同じ技を使ったとしたら最後まで闘気の繋がりは断たないだろう。
なぜなら、重大な欠点を生むからだ。
俺はその欠点を突くべく、手持ちを迷宮で拾った剣【エクシード】に変えて、シーマに向けて突進する。一斉に放たれた剣に向かって自分から。
なぜならこの技は一見逃げ場が無いように見えるが、それはあくまでその場に留まる事を選んだ場合の話。
だから一直線に動けば、叩き落とすのは正面から飛んでくる剣だけで良い、後ろを気にする必要はなくなる。
もしこれがネロならいやらしく最後まで剣をコントロールし後ろからも追尾させてきただろう。
しかしシーマはそれをしなかった。
というわけで俺は無数の剣の中を突っ切るとシーマに接近し彼女の首筋に剣を当てる。
勝ち誇った顔から一変し驚愕の表情で降参を告げるシーマ。
一回戦とは比べ物にならない歓声が上がる。
どうやら今回は観客を盛り上げる事も出来たようだ。
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