まだ青き双子ぎんなん道に落つ 風の便りの凝るかのごと

 銀杏の実をよく拾ってくださる方と親しくしていました。元々は友人のお母様でしたが、いつからか直接の人間関係として捉えていました。あちらのご人格です。

 でも、直接はご連絡を頂けない体調になってしまわれて二年近く。

 街中でも楽しそうに、でもシビアな選別眼で銀杏を拾われていた、その方を銀杏並木の中に住んでいる私はいつも思い浮かべます。

 この銀杏を拾えたら、耳に当てたら何か聞こえそうなのに……などと、らしくもないことを思ったのでした。でも、私の指先は路上の物に届くことはありません。

 家族でないと何もできない世の中。

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