NTR


 わ、わぁ........泣いちゃった。


 メンタルをへし折ろうとしたら、ガチ泣きしちゃった。


 恐らく、相当甘やかされて生きてきたのだろう。


 能力だけ見れば滅茶苦茶強いし、魔物もこの能力対する回答を持っている者は少ないはず。


 そうして周りから持て囃され、助長したプライドは器以上に大きくなる。


 多分、こういう絶体絶命的な状況に陥った事がないんだろうな。


 目の前に迫る死をどう乗り越えるのかは、その人次第。彼は自分の心を壊すことで死と言う恐怖から逃れようとした。


 なんと弱いメンタルなんだ。親父とおふくろが見ていたら、その心を鍛え直せと言って出家させられる羽目になってたぞ。


 軟弱者はこの社会で生きていけない。スルースキルを身につけろって言って、見る人によっては虐待すらするに違いない。


 おれは親に殴られたことが何度もあるしな。まぁ、大体全部俺が悪かったんだけど。


 それにしてもメンタルが弱すぎる。こんなのがCHE(スイス)のSランクハンター?笑わせてくれるよ。


 グダニスクに行ってメンタル鍛え直してどうぞ。


「........あー、ボス?俺達はボスじゃないから、何が何だかさっぱりだ。なんだって?」

「いや、なんか泣いちゃって戦意喪失したから連れてきた」

「ごめん。2回目聞いても理解できねぇわ。もう1回言ってくれない?」

「心を折ったら泣いちゃった」

「えぇ........」


 現在、明確にこいつを殺す手段がピギーしかおらずここで殺しても特に得にはならないと判断した俺は、ボクちゃんを連れて仲間達の所へと戻っていた。


 完全に心がへし折れちゃってるから、今後彼が暴れることは無いだろう。


 ピギー以外の殺し方も結局思い浮かばないし、もうこれでいいやが本音である。


 一応、ナーちゃんの影から光を逃がして再生できないようにするみたいなことを考えていたが、もう俺もめんどくさいよ。


「CHE(スイス)のSランクハンターライト・ブラスト。ハンターとなってから僅か2年でSランクハンターにまで昇格し、その後はCHE(スイス)の顔として最前線で戦ってきた不死身の英雄。昔CHE(スイス)の政治家の護衛をしていた時に見たことがありますが、まるで見た目が変わっていませんね。彼、確か26歳とかでしたよね?」

「そうだ。それが今となっては見た目相応の精神年齢に下がっちまった。ライトくん。このお兄さんお姉さんに自己紹介してみて?」

「ら、ライト・ブラストです。よろしくお願いします」


 俺の言葉にすんなり従い、ぺこりと頭を下げるボクちゃん。


 そう。彼は心を壊した対価として、精神年齢が幼くなってしまった。


 俗に言う幼児退行と言うやつだ。


 これ、見た目がガチショタだからギリ見てられるが、普通の26歳がやってたらキツすぎて反射的に頭を弾いていたかもしれん。


 というか、漫画以外で幼児退行とか見た事ないわ。人の心ってこんな感じで壊れちゃうんだな。


「なんというか、私よりも幼く感じるな。11のガキよりも子供に見える26歳とは一体........?」

「アリカ、お前は年齢の割に大人すぎるんだよ。もっと子供らしく振舞っていいんだぞ?お菓子食べたい!!とか我儘を言っても許されるだろ」

「昔、私が食べていたお菓子に毒が仕込まれていて死にかけた。それ以来食べてないな」

「なんというか........すまん」

「気にするな。もうそいつは死んだ」


 いや、気にするだろ。何その昔話。


 とんでもねぇところに地雷が隠れてるな。


 アリカは天才すぎたが故に、ありとあらゆる場所で妬みを買っていた。そして、その妬みはいつしかアリカを噛み殺す牙となり、気がつけば全てを失ってしまっていた過去がある。


 幸い、ウチの組織はそういう妬みとか気にしないタイプの人間しか居ないので、アリカにとっても居心地のいい場所となっているだろう。


 頭のおかしな連中ばかりだが、自分に出来ないこととかを素直に凄いと認められる奴らばかりだからな。


 何故か俺に対しては色眼鏡がすごいけど。


「さずかはボスっすね。これ、つまりは戦争捕虜ってことっすよ。終戦後、CHE(スイス)に対して交渉がやりやすくなります。奴らはたった一人しかいないSランクハンターを回収しようとして、POLにかなりの金額をふっかけられる事になりそうっすね。つまり、POL(ポーランド)に貸しを与えたことになるっす。POLとしては是が非でも今後の日本との関係を維持しようとなりますね」

「なるほど。そこまで考えてピギーを使わなかったのか。流石はボスだぜ。確かにSランクハンターを殺すよりも今後のためを考えて生け捕りした方がいいよな。利用価値が高い」

「しかも、CHE(スイス)が彼を取り返したとしても彼の心は壊れています。実質的な弱体化となるわけですね」

「あー、よく考えたら人を殺すよりも難しいことをしてるのか。それもSランクハンター相手に。やったなグレイお兄ちゃん。グレイお兄ちゃんがSランクハンターよりも優れている事がここに証明されたぞ!!」


 うーん。久々すぎて忘れてた。


 最近こういうタイプのすれ違い勘違いが起きてなかったから完全に忘れてた。そう言えばコイツら、おれが何をやらかしても肯定的にしか意見を述べない一種の狂信者だったわ。


 偶然だよ。流石に泣き出すとは思ってなかったし、ピギーを最初から泣かせない理由は言ったよね?自軍に被害が出るかもしれないからって。


 戦争捕虜?そんな事を考えているわけが無い。


 なんか泣き出しちゃって殺す気が削がれただけだ。


 POL(ポーランド)に対して恩の押し売り?そんなの考えてないし、戦争捕虜が交渉材料になるなんて知らねぇよ。


「偶然だ偶然。俺は何も狙ってないから」

「「「「またまた〜」」」」


 で、俺が“そんなことを狙ってやってない”と言うと急に頑固になる。


 何なのこいつら。そんなに俺を持ち上げて楽しいか?


 無力化したのは事実だからそこは認めるけど、その後のことなんて考えているわけないだろ。


 最近はだいぶこの世界でのやり方が分かってきて、随分とこの世界の住民らしくなってきたと思ったらこれだ。


 忘れた頃にやってくるとか要らねぇんだよ。


「........はぁ。帰るぞ。この戦線はもう崩壊したしな。ミルラ、そのショタを連れて行け。食ってもいいぞ」

「要らないです。私はアリカちゃん一筋なので」

「おーい、本人がいる前で恥ずかしいことを言うな。言っておくか、お前が私を食おうとしたら殺すからな?」

「アリカちゃんに殺される........悪くな───あ、いえ。わかりましたなんでもないです」


 こうして、南部戦線はPOL軍の勝利に終わった。Sランクハンターの捕虜を捉え、俺達はそれなりの戦果を上げたのだ。


 さて、この後どうしようかな。




【捕虜】

 武力紛争(戦争、内戦等)において敵の権力内に陥った者をさす。近代以前では、民間人を捕らえた場合でも捕虜と呼んだが、現在では捕虜待遇を与えられるための資格要件は戦時国際法により「紛争当事国の軍隊の構成員及びその軍隊の一部をなす民兵隊又は義勇隊の構成員」等定められている。




 1.名無しの神

【脳破壊】グレイ君、スイスからSランクハンターを寝取る。


 2.名無しの神

 草


 3.名無しの神

 草


 4.名無しの神

 草


 5.名無しの神

 草。

 それにしてもグレイ君、普通に強かった。


 6.名無しの神

 鏡があるとはいえど、ナーちゃんの力を少し借りたとは言えど、普通にグレイ君Sランクハンターに勝ってるからな。あれ?グレイ君強くね?


 7.名無しの神

 グレイ君はハマると普通に強い定期。グレイ君が明確に弱いのは、本能に生きる魔物と身体能力でゴリ推してくる脳筋でしょ。リーズヘルトちゃんとかローズには勝てないらしいし。


 8.名無しの有能神

 そうだね。ボクちゃんは能力に頼ったSランクハンターだから、対応札の多いグレイ君だと普通に対処できちゃうんだよね。

 後、顔に考えが出るタイプの子だったから読みやすすぎる。


 9.名無しの神

 もしかして、ボクちゃん弱い?


 10.名無しの有能神

 対人戦は弱い。グレイ君と真逆タイプ。魔物に対しては強く出られるけど、人の殺し方がなってないタイプだね。

 グダニスクに行って修行でもしてどうぞ。


 11.名無しの神

 グダニスクは人殺しを学ぶ場所だったのか........(困惑)


 12.名無しの神

 そして始まるさすグレ。


 13名無しの神

 Sランクハンターを直ぐに殺せるのに、1番有効的な活用方法を見出して生け捕りにしたグレイ君さすが!!


 ピギーを鳴かせなかったのは自分への被害を考えてだし、生け捕りにしたのは泣いちゃったから偶然定期。


 14.名無しの神

 それでもSランクハンター相手にほぼ1人で勝ってしまったという事実。アレ?グレイ君普通に凄いな?


 15.名無しの神

 相性とかもあっただろうけど、普通に勝てちゃう辺りグレイ君も凄いんだよなぁ。

 やっぱり脳筋思考で殴りに来るやつ以外にはちゃんと強い。


 16.名無しの神

 まぁ、最悪ピギーすれば勝てたしな。


 17.名無しの神

 ピギーすればとかいうパワーワードww


 18.名無しの神

 ピギーする(相手は死ぬ)


 19.名無しの神

 実際、エネルギーと言う概念に対してピギーは強すぎるんだよ。ピギー、ロギア系の能力者絶対殺すマンだからな。


 20.名無しの神

 つまりピギーは覇気だった........?!


 21.名無しの神

 覇王色の覇気(ピギー)


 22.名無しの神

 その覇気、場合によってはアメリカ分断されるんですが。


 23.名無しの神

 草


 24.名無しの神

 やっぱりピギーしかし勝たんのか






 後書き。

 グレイ君「イェーイ。スイス君見ってるー?」

 というわけで(?)、この章はここまで。

 ぶっちゃけもっと驚くような勝ち方をさせたかったけど、何も思い浮かばず武装色の覇気(鏡)で殴って寝取りに走った。主人公は作者以上の知能を持たない(悲しみ)。

 ちなみに、ぼくちゃんは退場この後特に見せ場とかなく退場します。死ぬとかじゃなくて、パン屋のオッサンみたいな人生の勝ち組になる(ネタバレ)。やったねショタ君。君は合法ショタだから貴重なんだよ‼︎

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