第三次世界大戦(防衛)
緊急会議
どこぞの頭のイカれたクソッタレぽんこつメイドの手によって、第三次世界大戦に参入することが決まってしまったわが祖国日本。
戦争の正当化理由がなんなのか試しに聞いてみたら、それはもう頭を抱えたくなるレベルの酷い話であった。
CH(中国)には“お前、昔は日本の属国として満州国作ってたんだから、領土を返せ”と。
バルカン諸国には“元々ユーゴスラビアだった。つまり社会主義国家。それ即ち共産主義国家と同義で共産主義はネオナチなんで正義の元に潰します”と。
頭おかしいんじゃないの?
何をどうやったらこんな無茶苦茶な言い分で宣戦布告できるのだ。
まぁ、百歩譲ってCHに対しての正当化は良しとしよう。歴史的観点から見ても事実ではあるし、とんでもないことを言ってはいるがまだ筋が通っているように見える。
問題はバルカン諸国。
何?共産主義と社会主義は同義で、共産主義はネオナチなので滅ぼしますとか頭狂ってんの?
全てが意味わからない。
何を言ってんのか何もかも理解できない。
こんなのが正当化理由だったら、この世界の全ての戦争が正当だよ。未承認国家だからってなんでもやっていいわけじゃねぇんだぞ。
多分、何も理由が思いつかなかったので適当なことを書いたのだろう。だとしてもあまりにも酷すぎる。
理由が思いつかなかったら宣戦布告するんじゃねぇ。お陰で俺達は全世界を敵に回してんだぞ馬鹿野郎。
ミスシュルカになんと言ったらいいのだ。と言うか、あの人この記事読んでんのか?
今頃葉巻を吸いながら頭を抱えてるよ。俺だってタバコを吸いながら頭を抱えている。
割とマジめに一旦このポンコツをバラして溶鉱炉に沈めてやろうか考えたが、彼女はこの国で唯一超遠距離攻撃を持つ兵器。
昔の日本のように、鉄を集めるためだけに寺院の鐘を溶かすような真似はできない。
そして、怒る気すら起きない。
内容がゴミすぎて怒りを通り越して呆れが先に来ているから。
アーサーとかこの記事を読んで大笑いしてんだろうな。あいつは俺がこんな短絡的なことをやる人間では無いと知っているので、部下が勝手にやらかしたと思っているだろう。
その通りだよ。この腐れぽんこつメイドの首を聖剣ちゃんでたたき落としてくれ。
そんなどうしようもない状況になってしまった俺ではあるが、とにかく行動しなければならない。
起こっしまったものは仕方がない。現状に嘆くよりも先に、対策を立てて行動しなければならないのだ。
グダニスクで培った行動力がこんなところで役に立つとは。とにかく、急がなければ、俺たちはかぼちゃ大王の前でダンスを踊る羽目になる。
「........と、言うわけで緊急会議を始める。うちの部下がバカをやらかして、他国に戦争を仕掛けた。防衛の対策だけはしっかりと決めておきたい」
「ほう。以前、戦争をする可能性は高いと言っていたが、もう始まったのか。まだこの世界が安全となってから日が浅いのだがな」
「いいじゃないか。私達が一丸となって初めての戦争だ。負けることは許されないさ」
「儂らも暫くは趣味の開発はやめになるな。とは言っても、全ての技術が真新しいから今はなんでも楽しいが」
「戦力でしか貢献できないタイタンの強さを見せる時が来たようだな」
緊急会議として速攻で呼び出した王達。彼らも何故か戦争に割と乗り気であった。
あれ?やっぱり俺だけが異端者なの?俺の感覚がおかしいの?
なんで何奴も此奴も戦争にやる気満々なんだよ。全世界を相手にしてんの。もっと危機感を持って。お願いだから。
「攻撃に関しては俺達だけでやるさ。どうせ未承認国家が適当こいているだけだと思われているだろうし。それで、問題は防衛だ。折角領土を持ったのに、そこに蛮族が来るのは勘弁願いたい」
「ふむ。それはそうだな。神聖なる世界樹様の加護があるとはいえど、必ずしも万能と言う訳でもない。我らで国を守る必要は必ず出てくる。どのような対処をするのだ?」
幸い、海軍戦力はそこそこある。
サメちゃん一家がある程度は守ってくれるだろう。なんか、めっちゃ強いらしいし、相手が大和だろうが普通にぶっ壊せそうだしな。
で、問題は航空戦力。
この世界も制空権を取った方が圧倒的に強いと言われている。当たり前だ。いつの時代も高所というのは、戦いにおいて有利な状況を作り出す。
重力という概念がある以上、覆しようも無い事実なのだ。
だから、せめて自国領土の制空権だけは守りたい。最悪ピギーに全部何とかしてもらうが、それ以外の方法があるならそっちを取りたいのだ。
俺がこの国にいない間に戦争を仕掛けられても対応できるように。
一応言っておくけど、俺の最終目標は五大ダンジョンの攻略だからね?別にこの世界を支配してやろうとか、そんなことカケラも思ってないのだ。
今すぐに制空権が取られる訳では無いだろうが、何らかの対策は必須。ましてや、現代戦を知らない異世界の魔物達にそれを教えなければならない。
「ドワーフ達には航空戦力の開発を頼みたい。できる限り急げ。お前たちのいた世界では空は自由だったかもしれないが、こちらの世界は空も戦場だ。上から好き勝手にものが落ちてきては全てを爆破していく。俺たちは、それに対抗するだけの力を手にしないといけない」
「エルフの魔術で打ち落とせないのか?」
「射程距離にもよるだろうけど、ほぼ無理だと考えろ。空に上がってゴマ粒よりも小さい的に向かって当たるならそれでいいが、無理だろう?」
「さすがに無理だろうな。と言うか、届かん。あの人間達がやってきた飛行機のような鉄の塊を落とすのだろう?地上戦とは訳が違う」
「そういう事だ。とにかく、国の総力を上げて、何らかの対抗手段を作ってくれ。それまでは攻勢に出たくとも出られない」
守り続けるだけでは戦争に勝てない。全く望んでない戦争の始まりではあるが、やるからには勝たなければならないのだ。
そして、勝つためには攻める必要がある。
その為にはまず自国の防衛機能をしっかりと作らなければ。
幸い、金も資源も腐るほどある。ダンジョンが無かったら終わってたな。ダンジョンの資源が如何に有用なのかがよく分かるよ。
世界樹バンザイ!!
突撃する時の叫びはこれにするか。
「少し前に金が沢山入ってきたから、それを使って何が買ってもいい。POL(ポーランド)とGBR(イギリス)は裏から支援してくれるはずだ。流石にこんなトチ狂った宣戦布告内容を顔面にたたきつけてくるような奴を堂々と支援はできないだろうがな」
「ふむ。そこら辺の常識も学ばないとな。我々とは生きる世界が違うのだし」
「だな。で、その他は何をすればいい?」
「ダークエルフとタイタンは国の警戒を。一応サメちゃん達を日本海側と太平洋側に分けて監視させるけど、多分抜けてくるやつがそれなりにいる。丁重におもてなししてやれ。何人かは生け捕りにして情報を抜き出してもいいぞ。そこら辺は任せる」
「了解した」
「従おう。この姿では無い方で暴れても?」
「好きにしてくれ。だが、あまり国を壊すなよ?味方に国を潰されましただなんて笑えないからな」
タイタンはクソでかいしクソ強い。しかし、それ故に国の地形を壊しかねない。
だが、それでも使わざるを得ないのが現状だ。アバート王も言っていたが、世界樹の加護を受けたからと言って敵が全く来ないなんて事はありえないだろう。
「エルフはどうする?」
「エルフは監視だ。魔術だったっけ?あれを使ってとにかくこの国の周囲をできる限り監視してくれ。後、どの種族にも言えるが全戦力を出すなよ?街の治安を守る部隊はちゃんと残せ。じゃないと、国が崩れる」
戦争中だろうが、市民の生活が変わることは無い。そして、戦争が起こった際には必ず街の治安は悪くなる。
戦争中に内部から崩れ落ちた国だってあるしな。とにかく、市民のヘイトコントロールは怠ってはならない。
種族が違う者に逮捕されると軋轢を生みかねないから、全種族の警備兵を残さないと。
多種族国家の苦しいところだ。
「よし、取り敢えず自国の防衛準備に取り掛かれ。何か問題があった際は必ず俺に連絡しろ。俺が(ピギーが)何とかしてやる。折角手に入れた平和を崩したくなければ、この戦争に勝つぞ」
「勿論だとも。この邪神ニーズヘッグを倒し、仲良く手を取り合う選択肢を持ったのだから我々はその手を離すつもりは無い」
「だな。そして、グレイ殿達のても握っているんだ。でかい借りもあるし、この国を守るとしよう........滅んだら人間と結婚できないじゃないか(ボソッ)」
「折角新たな技術を手にしたのだ。技術の進歩のために、儂らは儂らの国を守るとしよう」
「元より戦うことこそが我らの在り方。豊かになった国のために、この力を使わせていただく」
よし、取り敢えず王たちの士気は高い。
ちょっとおっちょこちょいな部分もあるが、彼らは王なのだ。王としての在り方がよく分かっている。
上のやる気がなければ、下も着いてこない。
こういう時は頼もしいな。
この前、アバート王とか“エレキギターカッケー!!”とか言って少年のように目を輝かせていたし、カルマ王はレイズにクッソデレデレの乙女だったけども。
君たちこの世界を楽しんでるね。多分国民たちよりも一番この世界を楽しんでるよ。
しかし、やる時はやる。これが、この世界樹の世界で生きてきた王なのだ。
「それじゃ、戦争開始だ。国民への情報提供も忘れるな。できる限り、俺達にとって都合のいいように上手くやっておいてくれ」
「フハハ!!プロパガンダと言うやつだな?任せておけ。我らは時として国民に嘘をつく。得意中の得意分野だからな!!ちゃんと事実に則ってそれらしく情報を流してやろう」
「助かるよ。あ、流す前に確認はさせてよ?」
「勿論だとも」
こうして、第三次世界大戦日本帝国は防衛から始まるのであった。
あー、頭痛い。
これはゲームこれはゲーム。自分にそう言い聞かせ続けなければ、今頃気が狂ってるよ。
【プロパガンダ】
情報戦、心理戦もしくは宣伝戦、世論戦と和訳され、しばしば大きな政治的意味を持つ。政治宣伝ともいう。最初にプロパガンダと言う言葉を用いたのは、1622年に設置されたカトリック教会の布教聖省(Congregatio de Propaganda Fide、現在の福音宣教省)の名称である。ラテン語のpropagare(繁殖させる、種をまく)に由来する。
ある種の洗脳であり、嘘が紛れ込むことが多いことから悪いイメージが多い。が、事実を述べるだけでも言い方次第では印象操作ができてしまう。使い方次第で在り方が変わると言っていいだろう。
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