血に染まる夢の国
折角楽しく遊んでいたと言うのに、その全てを台無しにしてくれたホワイトクラン。
人種差別をしようがその思想自体は別に好きにすればいい。しかし、俺達までも巻き込んだのは許されない。
例えそれが神のイタズラだったとしても、そもそもそんな事をしなければ良かっただけの話なのだ。
はい殺す。全員地獄に落ちて選民思想であることを恨め。大丈夫、家族恋人も一緒だからね。
「済まないアリカ。この調子じゃパレードはお預けだな。変わりに俺達がパレードを見せてやるから勘弁してくれ」
「気にするな。十分楽しんだしな。来て直ぐにテロを起こされたら拗ねていたが」
「そうか。ローズ、アリカを連れて出入口を封鎖している奴らをぶっ殺せ。奴らの白い肌を、赤黒く染めてこい。アリカは一般市民の手当をしてやれ。完全には治すなよ?死なない程度に治すんだ」
「了解よんボス。行きましょうアリカちゃん」
「分かった。初級ボーションを大量生産しておこう。そのぐらいなら、目立たないはずだ」
これほどまでにでかい事をやらかしているという事は、奴らはかなり念入りな準備をしているはず。
出入口は確実に塞いである筈なので、取り敢えずそこを制圧して逃げ道だけは確保しておく。
こんなデカイテロ騒ぎを起こしていると言うのに、全く気づかなかった無能なCIAに変わって、俺達がこの夢の国を守ってやろう。既に警備員が戦闘を開始しているが、不意打ちでかなりの数がやられたのかほとんど機能してないっぽいしな。
「ジルハード、リィズ、レミヤの三人は好きに動け。お前らは1人でもなんとかなるだろ。無理そうなら逃げてこい。自分の命を優先しろ」
「了解ボス。市民を守りつつ上手くやるさ。やばそうなら逃げてくる」
「グレイちゃんを怒らせたファッカー共は全員血祭りだね。分かった行ってくる!!」
「私は皆さんのサポートに回ります。管理AIを再び起動しますので、
「分かった。ミルラは俺の護衛だ。いいな?」
「了解ボス。取り敢えず、目の前で神の愛を叫びながらライフルを乱射するあのイカレ野郎共を始末しますか?」
「当たり前だ。では、状況開始。幹部連中だけは生け捕りにしろ。残りはぶっ殺して海の中にでも投げ捨てておけ」
俺がそう言うと、全員が動き出す。
銃弾が飛び交う中、散開した仲間達は上手くやってくれるだろう。何せ、五大ダンジョンの一つすら攻略した人外集団だからな。
俺も愛銃と予備の銃を手に取ると、残弾だけ確認してタバコを加えて火をつける。
マジで許さねぇ。アリカの楽しみを奪いやがって。何気に俺も少し楽しみにしていたと言うのによ。
「死ね!!有色人種の劣等種が!!神の血筋たる我々と同じ土俵に立てると思うなよ!!」
「ぎゃはは!!死ね!!死ね!!死ねぇ!!」
不愉快な声が耳に入ってくる。イライラするな。
自称神の子の声は頭に響く。
俺は50mほど離れた場所で銃を乱射しながら目に付いた人間共を殺していくテロリストに向けて銃口を合わせると、引き金を容赦なく引いた。
パン!!と、小気味いい音と共に白衣装が赤く染まる。
俺が放った銃弾は的確に糞の頭をぶち抜いた。
「いつも思うのですが、ボスの射撃技術って凄まじいですね。50m先の相手を撃ち抜くなんて、早々出来るもんじゃないですよ?」
「センスがあるんだろうな。むかし、恩人にも褒められた。行くぞミルラ。自分達が優れた人種だと勘違いした白人至上主義者共を
「私は護衛に専念致しますので、始末はボスにお願いします」
「任せろ。人の壊し方は知っている」
俺はそう言うと、タバコの煙を吐きながら歩き始める。
「ジョーン?ジョーン?!テメェ、何しやがるんだ?!」
「何をしやがるって、
「何だと?!
相手は十人程度。全員がライフル(軍用魔弾)を持っている。
が、所詮は訓練もろくに受けたことの無いただの半グレであり、少しだけだが軍人としての指導やら何やらを受けた俺の敵ではない。
何より、人間であるならば簡単に殺せる。ジルハードやリィズのように、特殊な能力を持っていなければ。
俺は銃を構えられた瞬間に
いつものようにワイヤーを具現化させると、腕を縛って銃口の向きを無理矢理返させる。
ドドドドド!!と、銃弾が発射されるが、その弾丸は全て仲間同士に叩き込んでいた。
「良かったな。神の子に殺されたぞ。ありがたく思えよ。後で家族も送ってやるからよ」
「うわぁ........」
俺は死体処理もせずにその場を後にする。
スーちゃんも今回ばかりは空気を読んだのか、死体を食べたがることは無かった。
さて、次のゴミを掃除しに行くかと思ったその時、ミルラが素早く動いて天使を出現させる。
ガン!!と鈍い音が響き、後ろを振り返れば2m後半近くもある巨大なムキムキの男が俺にでっかい鉈を振り下ろしていた。
白衣装で身を包んでいる上に、三角の被り物をしているためか
違う点があるとするなら、あまりにも綺麗過ぎるという点か。
「殺す!!殺す!!殺す!!」
「偉大なる白人至上主義者様達はこんな化け物まで飼ってるのか。これのどこが神の子なんだ?まだ悪魔の方が人らしい」
「ボス。この人強いですよ」
「この見た目で弱かったら見掛け倒しにも程があるだろ。で、コイツはどうやって処すか。見た感じ、コイツは最高戦力に見えるし、手足をもいで転がすか。生かす価値がありそうだ」
俺は盾を構えて俺を守ってくれる天使達の合間を縫って弾丸を撃ち込むが、当然のように体が弾丸を弾く。
この世界では割と常識なのが悲しいね。単純に、攻撃と耐久がかなり高いタイプの敵か。
「殺す!!」
「だが、頭は無いらしい。そんな大振りをしたら、体制を崩すぞ?」
天使達を纏めて凪払おうとする大男。しかし、そんな大振りが当たるはずもない。
俺は距離をとって射程圏外に逃げると同時に、ミルラに天使達を解除するように伝えると、大男は大谷もびっくりな見事なスイングを見せてくれる。
道を間違えたな。そのパワフルなスイングがあれば、MLBで活躍出来たというのに。
「
俺は空振り三振した大男に向かって油を具現化すると、全身を油まみれにしてやる。そして、更にマッチを具現化して火を落とす。
これだけであら不思議。人間の丸焼きの出来上がりだ。
「アヅイ!!アヅイ!!」
「肉のやけるいい匂いだ。おや?水辺に向かうのか?そんなことさせるわけないだろうに」
俺はそう言うと、次はパチンコ玉を具現化。
体を燃やされた大男はもちろん足元を見る余裕などなく、見事にパチンコ玉達を踏んずけてすっ転ぶ。
そしてワイヤーでぐるぐる巻きにした後、追加で油を投下。
一気に燃え広がった火は大男の肉を燃やし、眼球を燃やし続ける。
「エグイですねボス」
「この程度ならまだまだ可愛いほうさ。そろそろ動かなくなってきたし、あのまま放っておくか。手足を落として引きずっても良かったけど、まぁいいや。めんどくさい」
「えぇ........」
人間の丸焼きをあっさりと作った俺に軽く引き気味のミルラだが、こいつらが悪いから知ったこっちゃない。
ここら辺の安全は確保したし、残りも消しに行くか。
「レミヤから情報が送られてきた。暴れているヤツらの現在地が示されてるな。本当に優秀だぜ。じゃ、1番近い場所から消すぞ」
「これが終わったらどういたしますか?」
「決まってんだろ。本部にカチコミだよ。子供だろうが女だろうが関係ねぇ。全員アダムの元に送ってやるさ」
俺はそう言うと、ここから1番近いマウンテンの近くで暴れているヤツらの始末をしに行くのであった。
【エクスキューショナー】
ゲーム、サイレントヒルに出てくる三角頭が元ネタのDBD(デッドバイデイライト)のキャラクター。痛みを通して断罪することに固執しており、頭部に鋼鉄の枠をかぶり、歪で巨大な鉈を携えている。(余談だが、私(作者)はホラー系がダメな人なのでどちらのゲームもやったことがない。にわかでごめん)
彼らは自身がアダムの子孫であることを信じて疑わず、それ以外の有色人種は全て劣等種であるという考えを持っている。
世間一般ではギャングと認識されているが、実際はただのテロリスト集団であった。
そして今日、彼らは新たな世界の創造主として世界を作りかえる。
最も有色人種が集まるであろうこの夢の国で、自分たちの夢を叶えるための第一歩を踏み出そうとしていたのだ。
が、彼らはとにかくタイミングが悪かった。
世界を滅ぼさんとする神出鬼没の純粋悪が、その場に居合わせたのが運の尽き。
初動こそ上手くいっていたこの作戦であったが、30分もすればほぼ全ての部隊との連絡が途絶えてしまう。
そして、目の前には両手に銃を持ち、タバコを吹かす青年が立っていた。
「ここで最後か。お前、見た感じ幹部だな」
「だ、誰だ貴様は」
「誰だっていい。今から死ぬやつが俺の名前を知る理由もない」
パン!!
青年はそう言うと、何ひとつ躊躇いなく幹部の隣にいた仲間の頭を撃ち抜く。
まありにも自然すぎたその動きは、誰も気付くことが無かった。
「........は?」
「折角の観光を台無しにしてくれたな。自称アダムの子達よ。そんなゴミ共には、人間の裁きが必要だ。並べ、そして、祈れ。そしたら一撃で殺してやる」
「ふ、ふざけるな!!殺せ!!殺しちまえ!!」
幹部はそう言うと、配下の元たちに青年を始末するよう命令をする。
しかし、聞こえてきた銃声は青年にひとつも当たることは無かった。
全ての弾丸が味方を貫き、同士討ちにてその生を終える。
白衣装の服が真っ赤に染まり、やがて血がかわいて黒く染まり始めるのだ。
「肌の色が黒くなったな。残念。これでお前らも
「き、貴様ァァァァァァ!!」
幹部の男は淡々と、心の底から下らなさそうに呟く青年に向かって走り始めようとするが、足がもつれて転んでしまう。
足元を見れば、いつの間にか“keepout”と書かれたテープが何重にも巻かれていた。
そして、ズキズキと痛む手を見ると、いつの間にか釘が突き刺さっている。
「ぐ、ぎゃゃゃゃゃゃゃゃあ!!」
脳が痛みを理解し、彼はその痛みに耐えきれず絶叫を上げた。
「いいアトラクションだろ?ゴミのために用意してやったんだ。そんなに悲鳴を上げて楽しんでくれるとは、俺も嬉しい限りだよ。おい、ミルラ。こいつを引きずってこい。リィズ達と合流するぞ」
「分かりました。天使に運ばせていいですかね?」
「いいぞ。やったな
青年はそう言うと、まだ微かに息のあった死に損ないに向かって銀の弾丸を撃ち込むのであった。
後書き。
あれ?グレイ君強くね?かっこよくね?
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