ᚷ ギューフ

エドゥアルト・フォン・ロイエンタール

Herr mannelig

 ある朝早く、太陽が昇る前、鳥が鳴き始める前、薄暗がりの中に微かに蠟燭の灯る小屋の中。山々と谷間に霧が立ち込み、小川のせせらぎが微かに聞こえる静寂を破り、山の乙女は端整な青年に愛を謳った。

「マンネリグ様、マンネリグ様、どうか私と結婚してくれませんか。あなた様が山で狩りの途中、怪我をされていたことを助けて以来、私はあなた様を心より愛しております。私はあなた様との結婚のためなら、どんな贈り物も用意します。あなた様はそれを『望む』か『望まない』で答えてください」

 青年は深く瞬きをし、乙女の話の続きを待った。

乙女は外を指さし、語った。

「まず、あなた様にはあの薔薇の木の傍にいる、十二頭の仔馬を差し上げたいのです。薔薇の木の傍を行き交う、一度も鞍をつけたことも口に轡をつけたこともない仔馬たちを。どの仔馬も力強く、優しく、賢く、従順で、美しい、あなた様にぴったりな仔馬たちを差し上げます」

 青年は目を閉じ、考えた後「望まない」と答えた。

 乙女はその言葉に、驚き悲しんだが、改めて口を開いた。

「あなた様に十二棟の水車小屋を贈ります。ティロとテルモの間に建つ、研ぎ石は最も赤い真鍮で、車輪は銀で覆われた水車を」

 青年はしばらく考えた後「望まない」と答えた。

乙女は又もや断れたことに悲しんだが、諦めず、再度贈り物を示した。

「あなた様にあの黄金の剣を差し上げます。十五個の金の輪の装飾がされ、揺れるたびに美しく鳴り響く豪華な剣を。この剣はどんな戦いあっても、あなた様に勝利をもたらすでしょう」

 青年は顎に手を当て、考えた後「望まない」と答えた。

 乙女は再三度に亘って断られたことにひどく悲しみ、驚いたが、最後の贈り物を出した。

「あなた様に私からの最後の贈り物として、新しいシャツを贈ります。あなた様が着るに相応しい、針と糸で縫ったわけではない、純白のシルクで編まれた優美なシャツを。私が自ら長い時間をかけて、縫ったシャツを差し上げます」

 青年はしばらく目を閉じ、深く考えた後「望まない」と答え、続けた。

「このように美しく、価値あるものなら私は必ず受け取っただろう。もしあなたがキリスト教徒なら。しかし、あなたは山に住まう邪教を信仰する異教徒。悪魔の教えに誑かされた者。そのような汚れた者と婚姻などできない」

 乙女は扉の外へ飛び出し、走った。

 青年への求婚を断られたことに深く悲しみ、泣き叫びながら走った。

「あの美しく高潔な人を夫にできたなら、私はこの苦しみから解放されたのに……私もキリスト教徒して受け入れてもらえたのに……」

 朝日が顔を覗かせ、深い山々を暖かな光で照らす夜明け。朝靄が立ち込め、光の届かない谷間に、一人の乙女の悲しみの声が響いていた。

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