第35話 恋焦がれる両者はお互いの正体を知らない
「どんなアバターなのかな〜」
お互いの容姿は言わないようにした。理由は至極単純。相手がどんなリアクションを出すのかを楽しむため。
集合場所でもある『
「どうしたの??」
目を見開き、前方を警戒する使い魔達。またか......さっきもナンパ紛いをしてきたプレイヤーと一悶着あったばかりなのに......どうやら、私の名前は私が思っていた以上に『オニキス・オンライン』で広く知られている。
街に入ってから何度も何度も情報開示だったり、ギルドの勧誘だったり、武具を見せてくれとプレイヤーたちがひっきりなしに迫ってきた。
さすがはMMO。きっと貴重な情報を一つでも教えてもらうと行動を起こしたんだろう。でも、ご安心ください。私には頼れる使い魔達と守り人でもレオがいる。
キューちゃんの恐ろしさは折り紙つき。フェンリルでもあるウルウルも氷魔法は極寒の街ではあまり活躍の場がない。能力も戦闘向けではないが、佇まいで立派な番犬ならぬ、番狼となってくれている。
傭兵でもあるレオの脅威は凄まじく、目だけの威圧でNPCや中堅プレイヤーは失禁。咆哮で高レベルプレイヤーの体は彼方へ吹っ飛ぶ。多くのプレイヤーが私の愛する従者達にはばかれ撃退されていった。
中にはガチのリアル女の子のプレイヤーもいて、フレンド申請はした。生産職のギルドに所属しているらしく、いつでも遊びに来てねっと誘われてた。
(マズボックリンゴ......おかしな名前......)
急なイベントはもはや遠い過去だったっともの思いに耽っていた。
「いけない、いけない。帰ってきた私」
きっと、今向かってくる人もみんなと同じだろうっと考えて視線を向ける。
「みんな、ストップ」
私の命令に忠実に従い、威嚇&攻撃モーションを解除した。私が静止したのは、私の事を知っている存在が近づいたからだ。さすがに大丈夫な相手だと確信している。
視線の先、白い服を着ている女性が歩いてきた。
「あれ? クイーンさん??」
「あれ? ユミナじゃん。久しぶり?」
「お、お久しぶりです?」
私の近寄る白銀の衣は何度か一緒に冒険したプレイヤー、クイーンさん。
ひょんな事から知り合いになり、幽霊屋敷や火山の洞窟などモンスター達と闘った仲。私の顔を見たレオとキューちゃんとウルウルは心配ないなっとリラックス状態に移行していた。
「クイーンさんはどうして?」
「あー......ここで
「偶然ですね、私もリアルの......
「奇遇だな。ユミナ......隣、座ってもいい?」
「クイーンさんもここで?」
「他の椅子が埋まっていてね」
確かに。私が座っている長椅子以外は全て男女カップルが占領していた。
「これから会う知り合いに『
相手さんの好感度が下がるかな......
「いいですよ、どうぞ!!」
長椅子なのでそれなりにスペースはある。だから拒否するのはどうかと思うのでお誘いした。
それに、クイーンさんには恩義もある。これくらいで返したとは思えないけど、少しでも力になれることがあるなら、私は全力で支援する!!!
(それにしても......)
(それにしても......)
お互いがお互いの
ずっと座り状態で待っていると、周りも神妙な雰囲気を感じるとるかもしれない。だからと言って少し気心が知れた仲でも相手に仲良く話していると、待っている
(白陽姫ちゃんは......)
(せつなは......)
((どんな
ロマンチックな街頭は人の行き来と時間だけが過ぎる。二人は周囲を見渡している。胸の高鳴りがおさまらない。いつ来るかわからない恋人を待つ両者。いつ現れても即座にいつも通りのゲームをしようと胸に秘め、恋人と楽しいゲームプレイを心待ちにしていた。
隣に座っている両者が、実は待ち侘びている最愛の
⭐︎⭐︎⭐︎
ウルウル。元は《ウェントゥス・シナジー・ルプス》。
・フェンリルの宝箱【魔術本:No.14】
本来はフェンリルを模した使い魔なんだけど、ユミナがフェンリル? 名称もルプスだし、見た目が狼だからウルフ。うん、ウルウルにしようっとなった経緯がある。
能力は昇華と風魔法。魔法やスキルの向上が可能。相方はNo.13。順番に相手を強め、生む影響をもたらします
『セルパン』→
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